2006年05月29日

まるでタイプの違う3本、いずれも大いに楽しむ

先週は3本の映画を観ました。
土曜日にほとんど思いつきで観た『かもめ食堂』は噂に違わぬ佳作、立ち見、とまでは行きませんでしたが、ほぼ満席だったようです。客層も幅広く、こういう誰が観ても面白い邦画が年に12本公開されれば、観客数も随分増えるのではないだろうかと安易に考えてはみたものの、いや、そんなに単純ではないな、とやはり思考を改めた次第。
『かもめ食堂』を観た所為で、予定していた「ギィ・ブルタン展」には行かれずじまい。わざわざロメールのヴィデオを3本も抱えてきてくれたこヴィさん、すいませんでした。近く渋谷ででも会いましょう。

さて日曜は以前から決めていた特集上映「笑うポルノ ヌケるコメディ」より『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』と『(本)噂のストリッパー』を朝一番の2本立てで。こちらは当然のことながら『かもめ食堂』の時とは打って変わって、15人程度しか埋まっておらず、個人的にはべストな状態で鑑賞出来ました。
2本のうち、目当ては『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』のほうでした。この映画は、嘗て「封印されるということ〜『放送禁止映像大全』を読んで」という記事にも書いたように、ソフト化もされておらず、観る事が困難な作品でした。常軌を逸した拷問の連鎖により、ほとんどギリギリで作品が成り立っているという本作が、ただのスナッフフィルムと見做されて我々の目から遠ざけられてきたようなのですが、実際に観てみると、これがなかなかの出来栄えで、その強引な二部構成や残酷描写など、例えるなら、アレハンドロ・ホドロフスキーの怪作『エル・トポ』を想起させる面白さ。日曜の午前中に相応しい映画かと言われれば閉口するほかありませんが、『エル・トポ』という言葉に反応した方は、本日、あるいはこの特集上映の最終日である6/2に、是非ともシネマヴェーラ渋谷まで足を運んでいただければと思います。

ところで今週からもう6月に入ります。5月はあまりに観るべき作品が多すぎて、ほとんど“底抜けてんやわんや”という状態でしたが、6月はどうでしょうか。絶対に外せないアテネ・フランセ「映画の授業 part.2」や「1stCUT ver.2005」がありますが、スケジュールはまた別途ということで。

2006年05月29日 09:01 | 映画雑記
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Comments

>[R]殿

「フランス古典映画への誘い」、確かに。『燈台守』は観たいですね。『のらくら兵』も。

そういえば最近劇場で会わないなと思っていました。
『かもめ食堂』は、いいですよ。先ほど、『ダヴィンチ・コード』を観てきた友人から、「最悪でした…」というメールが来ました。観ないことには何とも言えませんが、今どんな映画を観ようか迷っている人には、『かもめ食堂』を薦めると思います。

ちなみに、今日から3日間はまたユーロに通う予定です。


Posted by: [M] : 2006年05月29日 15:24

フィルムセンターで開催の「フランス古典映画への誘い」も、かなり熱いですね。
ルネ・クレール、ジャン・ルノワール、ジュリアン・デュヴィヴィエはもちろん…
ジャン・グレミヨンの『燈台守』とか、ブレッソンの『ジャンヌ・ダルク裁判』とか。
ゴダール&ジン・セバーグの『立派な詐欺師』も楽しみ、シャブロルと併映だし。
7月に入ったら、この企画が日仏学院に受け継がれるみたいですね。

『かもめ食堂』が気になってきた…しかし最近、映画館から遠ざかっております。
それはそれで心地良かったんですが…。


Posted by: [R] : 2006年05月29日 14:30
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