2008年08月20日
PFF2008を終えて〜ダグラス・サークとミロス・フォアマン
今年で30回目を迎えた「ぴあフィルムフェスティバル」が先日終了しました。私はほとんど特集上映専門ではありますが、今年も4作品を選んで鑑賞、いずれも素晴らしい映画体験として、記憶に残るものでした。
とりわけ30回記念である今回にダグラス・サーク特集を組むというニクい心意気と、世界中からフィルムを集めてくる途方も無い実行力に対して、我々映画好きはいくら賞賛しても足りないくらいだと思っています(それは昨年のロバート・アルトマン特集にも言えることでしたが)。
もう一方のミロス・フォアマン。今回上映された4作品は、チェコ時代の3作品とアメリカ亡命後の1作品とに分けられるのですが、よく知られているように、彼の呼称は二通りあって、チェコ(東欧圏?)での呼称である“ミロシュ・フォルマン”と、アメリカでの呼称である“ミロス・フォアマン”というものですが、これらがいったい何時を境に変化したのか、正確なところは今もってわかりません(というより、現在も混在している状況)。少なくとも、彼の名前を世界的なものにした『カッコーの巣の上で』でオスカーを獲ったときには、すでに“ミロス・フォアマン”と表記されているので、アメリカ亡命後はいずれも“ミロス・フォアマン”なのだと納得することとします。
ついでに言ってしまえば、ダグラス・サークも戦前のドイツで撮っていた時はデトレフ・ジールクと名乗っており、ダグラス・サークと名乗ったのはあくまでハリウッド亡命した後のことです。つまり今回の特集上映は、いずれの監督もヨーロッパから何らかの理由でアメリカに亡命してきた映画作家に焦点をあてたもので、亡命という過酷な体験を経てもなお、優れた映画作家は映画を撮り続け、傑作すら産み落としてしまうものなのだということを知る上でも、大変貴重な特集上映でした。
では、それぞれの作品に関しては、すでに多くの方が書いているようなので、ここでは省きます。
とりあえず、サークの作品を観て自分がまだまだ映画を観ていなかったことを実感したことと、『パパ/ずれてるゥ』の様々な破天荒ぶり(あれはカウンターカルチャーに対する批評なのか?)に感動したことだけを申し添えておきます。
2008年08月20日 12:48 | 映画雑記