2008年06月24日

『リボルバー』にはむしろ気持ちよく騙されたかった

2005年/イギリス・フランス/115分/ガイ・リッチー

久しく名前を聞いていなかったと思ったら、ガイ・リッチー監督作品が日本公開されたのは、『スウェプト・アウェイ』以来5年ぶりでした。デビュー作から立て続けにヒットを飛ばしたガイ・リッチーですが、何故だか『スウェプト・アウェイ』だけはまったく観る気がしませんでした。マドンナは映画的にどうなんだとか、今さらリナ・ウェルトミューラーもないだろうとか、そんなことを思ったかどうかすら覚えていません。ただただ、黙殺していたのかも。

ガイ・リッチーに対しては、MTV以降の映像で群像劇を撮る現代的な監督、というイメージを抱いていており、評価していたかどうかと聞かれると、まぁオシャレだよね、というようなスタンスだったような気がします。私自身、嘗てはMTV的監督に対する齟齬感もありましたが(今でもないわけではありません)、にもかかわらず周りに熱狂している人がいたりして、もう一つ釈然としない感じがしていたのかも。今となってはタイトルバック以外ほとんど記憶にないので、やはりその程度だったのかもしれません。
(とここまで書いて、この感覚が、最近観た『アフタースクール』にも通じていたことに気づきました)

面白い画面を造形する監督だとは思いますし、本作においても、それは健在でした。それだけで終わっていれば、まだ良かったのです。
レイ・リオッタは相変わらず素晴らしかったと言えるし、ジェイスン・ステイサムも悪くない。殺し屋の風貌や動きもそれなりに楽しめました。がしかし、主人公が自らの精神世界へと埋没していく後半の失速振りには、ただ閉口するほかありませんでした。別に今さら『ユージュアル・サスペクト』のようなことをしろとは思いませんが、見えもしない人間の内面を描こうとして迷走するくらいなら、いっそ、図々しく開き直ってクライム“どんでん返し系”アクションに徹すればよかったのではないか、という思いをどうしても払拭出来なかったのです。ガイ・リッチーは、本作の脚本に3年を費やしたといいます。考えて考えて考えるうちに、面白さとの距離感を見誤ったとしか思えません。キャストが悪くなかっただけに、残念でした。

ところで、本作のプロデュースはリュック・ベッソンです。『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』にポンと金を出す彼の姿勢は、今思えばまったくもって素晴らしかったと思いますが、出資した映画の中身に、果たしてどれほどの関心があるのでしょうか。まったくわかりません。

2008年06月24日 19:55 | 邦題:ら行
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