2007年10月22日

主演女優のエロスには、それだけで救われるものがある

先週は連日飲み続けていましてなかなか文章を書けませんでした。

週末に観た映画に関して簡単に書くつもりでしたが、あれだけ楽しみにしていたペドロ・コスタの新作『コロッサル・ユース』を、あろうことか寝坊して見逃すという愚行を犯してしまったことによるクリティカルダメージをずっと引きずっていて、その腹いせに観た2本の、いずれも女性が主人公であるドラマを観ても、決して癒されることはなかったのです。まぁそもそも、その2本の女性映画はそういう類の映画ではなかったのですが。

廣木隆一の新作『M』は、タイトルそのままの映画でした。主演は美元(MIWON)というモデル出身の女優で、監督が廣木隆一だからか、堕ちていく人妻のエロティックな表情や肢体を見せてくれます。彼女はその裸体を惜しげも無く披露してくれますが、むしろ下着とストッキングを身につけている時のほうがエロティックに見えるのは、彼女が人妻という設定だからなのか。あるいは単に、私の嗜好か。
高良健吾は、幼少時に父親を刺し殺した過去をもつ新聞配達員を演じていますが、『十九歳の地図』を観てからというもの、映画における新聞配達員はどこか屈折している、という何ら根拠の無い思い込みがあって、それが今回もご丁寧に当てはまっていたのにはちょっと驚きました。田口トモロヲのややダメなヤクザぶりに関してはこちらの予想を出ないまでも、悪くないという印象。

もう一方の女性映画『待つ女』は、フランスの新人監督ジャン=パスカル・アトゥの長編デビュー作。彼はアンドレ・テシネの元で助監督を経験していたとか。彼はその後数本のドキュメンタリーを撮るのですが、その中で刑務所を題材にしたドキュメンタリーがあったらしく、その経験からこの映画が生まれたようです。
本作も主演女優(ヴァレリー・ドンゼッリ)が人妻役で、しかもイタリア系らしくプロポーションが官能そのものといった感じ。前述の『M』よりも、主要人物の関係性が簡潔で理解に苦しむことはなく、ただ一点、あれだけ夫を愛していた妻が、何故看守の誘いにいとも簡単に乗ってしまったのかがわかりませんでした。
人妻と看守の逢瀬は、基本的に人気のない場所に停めた車の中に限られます。いかにもフランス映画らしく、二人の交渉は“積極的に”描かれるのかと思いきや、さにあらず、何度目かの逢瀬では、静かに佇む車をやや遠めから捉えたショットを挿入して変化を出すあたり、ちょっといい感じでした。
とにもかくにも、主演女優がかなり好みだったため、あまり細かいことを言う気にもなれません。それだけでいいのだと思わせる瞬間が、映画にはあるのですから。

さて、先週起きた映画以外の出来事については、また後ほど。

2007年10月22日 09:48 | 映画雑記
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Comments

>ヴィ殿

『やわらかい手』ですね。私も昨日チラシで。
まったくわからなかったのは、右に同じです(笑)
どうやら“gloryhole”ものらしいですね。日本では“ラッキーホール”と呼ばれるらしいです。
一応エンターテインメントらしいのですが…


Posted by: [M] : 2007年10月25日 10:09

いや、もちろん私も一人で行きますけどね!(笑)

話違いますが、こないだM・フェイスフルが主演する(最新)映画のチラシみつけました。もちろん、クレジットを見ないと誰かワカリマセンデしたけど……。


Posted by: こヴィ : 2007年10月25日 02:20

>ヴィ殿

デュモンは当たっている部分もありますね。ダルデンヌとはちょっと違う気もしますが、雰囲気は少し。トリアーほど人でなしではありません(笑)
『レディ・チャタレイ』はやたらな女性と行くと、勘違いされるか、やや距離を置かれるかされてしまうのでは? 私なら一人静かに観ますね。
あるいは、エロさが爆発した20代後半の女性だったらいいかもしれませんよ(笑)


Posted by: [M] : 2007年10月23日 09:55

『待つ女』迷ってるんですよねー。予告でデュモン・ダルデンヌ・トリアー(「奇跡の海」)など連想しましたが。
あと、『レディ・チャタレイ』はどんな女性と観に行ったら正解ですか?!?(笑)


Posted by: こヴィ : 2007年10月23日 01:30
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