2007年07月11日

“黒い映画好き”の夏、始動

9日・10日と2日間夏休みを取り、今年初の海に行ってきました。
たった2日間で日頃のストレスを全て取り払うのは不可能だと諦めつつも、いや、与えられた休日をフルスロットルで謳歌すべきだ、という方針に何とか切り替え、ビール⇒海⇒プール⇒ビール⇒海⇒プール⇒ワインという感じで駆け抜け、気づけば体は真っ黒に日焼けしていました。もう朝から晩まで休みなく酒浸りだったので、元プロボクサーのタコ某みたいになるんじゃないかと心配ではありましたが、結果的にはそれで良かったのだ、と今は満足の極み。東京の夏はまだまだこれからなので、さらなる黒みを目指し、向こう2ヶ月は、“黒い映画好き”として渋谷の街を闊歩するつもりです。

さて、先週観た映画は2本。
3作目がまるで印象に残らないほどつまらなかったので、同じ監督が撮ってもシリーズものは難しいなと思わせた『ダイハード』シリーズの4作目『ダイハード4.0』は、聞いたことのない新人監督の起用にあまり期待せずに観たのですが、これが大きな誤算、とまでは言わないまでもなかなか楽しませてくれる作品で、相変わらず予告編に出てくるアクションシーン以外に見所は無いんじゃないかというこちらの危惧は杞憂に終わり、例えばマギー・Qが死ぬくだりなどの、妙にあっさりとした嫌味のなさには関心してしまい、これはあまりにもマンガ的でやりすぎなんじゃないかと思えるシーンには苦笑してしまったものの、ラストにおける、これぞハリウッドだと思わせんばかりの、あからさまな抒情(友情の萌芽)には、つい喉の置くがツーンとなってしまい、思わず涙を堪えてしまったりも。流石に『ダイハード』で泣くわけにはいかないという思いで何とかやり過ごしましたが。
ハッカーを中心に据えたアクションということで、すぐさま『ソードフィッシュ』におけるヒュー・ジャックマンが想起され、実際、コンピューターを前に、「あと○秒以内にこのプログラムを解除しろ!」的な感じで銃を突きつけられたハッカーが苦悩の表情を浮かべるという類似したシーンも見られたわけですが、ラストを飾るその重要な銃撃戦において、軟弱なハッカーが慣れない銃さばきで敵を撃つというシーンもまったく悪くなく、そういえば、彼とブルース・ウィリスが中盤でついにお互いの友情を確認するという無言の目配せからして、この結末は想像出来たはずなのに、やはりというべきか、あえてベタな展開をも辞さずに、こちらの想像を裏切らないレン・ワイズマン監督の手腕には、素直に感動しました。
ジョン・マクティアナンはもうこのシリーズを撮らないのだろうかと、決して嫌いではない監督だけに気がかりでしたが、本作の出来栄えを観て、他人事ながら一安心した次第です。

次に観た映画は、河瀬直美の新作『殯の森』。シネマ・アンジェリカはほとんどの席が埋まっており、題材が題材だからでしょうか、客席には年配の方々が目立ちました。
カンヌでグランプリを獲得したということと、その作品が自分にとって良い映画かどうかということはもちろん切り離して考えるべきですが、私も通俗的な人間なので、やはり人並みに多少の期待くらいはしますし、だからこそ、かなり気合を入れてチケットを取ったりもしました。
果たして、この映画は、私にとってはそれほど良い映画でも必要な映画とも思えず、いわんや、誰かに薦めるべき映画だとも思えませんでした。この作品が真摯に訴えようとしている何かがあるはずだ、と鑑賞前にもかかわらず妙に確信してしまった私にも落ち度はありますが、目の前で展開していくあらゆる風景、人物のアクションが、妙に胡散臭いものに感じられてしまいました。
今にして思えば、私は本作を、ドキュメンタリー的だとは思っていません。要所要所になかなか見せるロングショットが配置されていたし、ところどころ音声が聞き取りづらかったからといって、それがそのままドキュメンタリー的であるとも思わなかったのです。だけれども、やはり私にはこの作品を現時点では評価出来ません。
ただし、再見して評価ががらりと変わるということも充分ありえること。問題は、私が本作を再び鑑賞する気があるかどうかなのですが……。

とまぁそんな感じでした。
7月は新作も旧作も目白押しなので、映画と海を上手いことスケジューリングしなければと、日々カレンダーに向かって頭を悩ませているところです。

2007年07月11日 18:27 | 悲喜劇的日常
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