2007年06月20日

まったく最低だ

人間の決意など、本当にいい加減なものです。
あれほど、この日だけは逃してはならないと心に言い聞かせておきながら、恐らく今年最も重要な上映の機会を逸してしまいました。言うまでもなく、それは『下女』の上映です。
「オトコとオンナの映画秘湯」さんのところで再上映の日程を聞いたのが二ヶ月近く前だったからか、まだ先のことだと高を括り、カレンダーに記しておくことすらしていなかったのです。
今年中に上映権が切れてしまうとのことなので、もう観る機会は残されていないでしょう。dvd化の噂もあるようですが、それにしても劇場で鑑賞出来ないことには変わりありません。嗚呼…まったく最低です。

そんな時に良くないことは重なるもので、これは私の身にはほとんど関係していないことですが、昨日の日中、自宅からも程近い場所で、大規模な爆発事故がありました。もちろん私は仕事中でしたが、ニュースを見て、その現場が、2日に一回は通る馴染みの場所だっただけに、驚きを隠せませんでした。
夜のニュースを見つつさらに驚いたことに、そこには粗いながらも、爆発の瞬間の映像が流れていたのです。いったいどういう経路であの映像を入手したのか。あの辺りは東急本店に近いとはいえ、ほとんど住宅街と言える場所です。高級住宅街だけに、そこかしこに監視カメラが設置されていたのでしょうか。私が数回見た限りでは、カメラ位置から考えても監視カメラによる映像だとは思いがたかったのです。まぁその映像の詳細についてここで結論を求めたいわけではなく、恐ろしいのは、ああいった映像が残ってしまっているという事実に他なりません。まさにトニー・スコットの作品で描かれてきたような世界…。嗚呼…まったく、恐ろしい。

さて、実は昨日、爆発事件よりも何層倍か小規模な事件ではありましたが、私の身にも悲劇が起こったので書いておきます。こうして書くのも恥ずかしいのですが、“また”自転車を誰かに持っていかれてしまいました。昨日は近所に住んでいて会社も同じというある女性が、車で来ているから帰りに送ってくれるとのことだったので、じゃあ道玄坂上に自転車を止めてあるからそこまででも良ければ是非、ということになったのです。車中、まさに昼間起こったばかりの爆発事件について、お互い近所と言えば近所なので、ああだこうだ話をしていました。道玄坂に差し掛かって、じゃあそこに自転車があるので、と言って笑顔で別れ、自転車があったはずの場所に着いてみると、そこにあったはずの自転車がナッティング…。ヴィンチェンゾ・ナタリの映画のように、NOTHING……。3月下旬に購入したばかりなのでまだ3ヶ月しか乗っていない真っ白い自転車でした。しばし立ち尽くし、「マジかよ…ああ……………あ”ーーーーーーー」と独りごち、“とぼとぼ”という副詞がここまで似つかわしい歩き方もないな、という感じで家路につきました。まったく…本当に、心の底から、最低です。

ちなみに、先週観た映画は3本。
『ゾディアック』は途中退屈が極まる瞬間があり、しかも長いのでまるで良い印象がありません。
河瀬直美のドキュメンタリー『垂乳女』は、短いながらも濃度の濃い映画で、なかなか満足。
最後に『ザ・シューター』ですが、こちらもまぁ長い部類に入ると思います。必要のないスローモーションが多く、それがマーク・ウォールバーグだからか、ほとんど絵になっていないのです。ただし、背後で起こる大爆発を背に画面手前に向かって歩いてくるというお決まりのシーンで、マーク・ウォールバーグがその爆発音(あるいは大きな炎)に一瞬怯んだ(ビクっとなった)ように見えたことが面白いと言えば面白く、それはもちろん、演出としては“ナシ”なんでしょうが、もういい加減、ああいった絵に描いたようにヒロイックなハリウッド的描写はやめるぞ、というような批評性が込められていたのかもしれない、などと強引に思考すれば、それなりに楽しめるのではないでしょうか。
その夜はティム・バートン版『猿の惑星』がテレヴィでやっていたので、もうマーク・ウォールバーグはいいよと思いつつも、何だかんだ言いつつ最後まで観てしまいました。まさにウォールバーグ漬け。

2007年06月20日 09:19 | 悲喜劇的日常
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Comments

>yasushiさん

いやぁこんな時もありますね。
昨日、“歩いて”事件現場を通ったら、結構な数のマスコミが陣取っていました。
ヴィンチェンゾ・ナタリに恨みはありません(笑

>こヴィ&バーチーさん

失意の私の記事に対し、かくも羨ましい自慢をしていただきありがとうございました。とても元気が出ました(涙)

キム・ギヨン情報、どこかで仕入れましたら真っ先にお知らせください。ひとまずは、アルトマンで溜飲を下げたいと思います。

自転車ですが、やはり派手は色は目についてしまうということなんでしょうね。私の場合、防犯登録すらしていなかったので、もうどうしようもありません。しかし、やはり自転車がないと、朝がキツイですね。
次回からは、金を払ってでも、駅前の自転車置き場を借りたいと思います。


Posted by: [M] : 2007年06月22日 17:22

>バーチーさん、それは自慢してよいでしょう!(w) 私もA・ヴィアゼムスキーにサインもらったことありますけど!(ブレッソン100年上映の来日時) 


Posted by: こヴィ : 2007年06月22日 15:30

『下女』やってたんですね。しかも今年で上映権切れですか。オレはもう随分前、赤坂の国際交流フォーラムで観ました。その時はまだキム・ギヨンが御存命で上映後に握手してもらいました(自慢でゴメンナサイ)。まあ、大傑作ですからまたいつか上映がありますよ。アルトマンの例もあることだし。

自転車、御愁傷様でした。盗難防止策としては迷彩とか蛍光といった派手な色が良いらしいですよ。自分のは違いますが。


Posted by: バーチー : 2007年06月22日 12:23

ショックな出来事が続いてしまったようで・・・。
渋谷の事故はそこに意図がないだけに恐ろしいですね。

ただ、失礼な発言ですが、ヴィンチェンゾ・ナタリのあたりはちょっと笑ってしまいました。


Posted by: yasushi : 2007年06月21日 09:59

諸事情により映画が全く観れてません!(泣) 松濤のですが、私がニュースで見た映像は、スクーター(かバイク)が通りすぎた直後に爆発していました。それは近所の防犯カメラに写っていたというものと紹介されていましたが(同じく粗い映像)。あれはほんとに映画みたいでした…。


Posted by: こヴィ : 2007年06月21日 02:11
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