2007年03月12日

映画は人生の教科書だと真面目に言い切ってしまおう

先週末は劇場で2本、ヴィデオで1本の映画を鑑賞。本来であれば、土日で4本は観たかったところですが、なかなか思うに任せられません。桜が咲いてしまうと、映画よりも花見を優先させてしまいそうなので、今週はやや意識的に本数をこなしていきたいと思います。

土曜に観た『マリーアントワネット』は、すでに公開からかなり時間が経っているせいか客入りはそれほどでもありませんでした。本作の評価は非常に微妙なところで、ソフィア・コッポラは流石に上手いなと思わせる箇所もあるにはあったものの、題材に興味がもてなかったという部分が、全体としての評価を微妙なものにしてしまったようです。ただし、これまでその“顔”に限ってはどうも好きになれなかったキルスティン・ダンストが本作ではなかなかキュートで、やはりなかなかの女優だと思われたことが収穫ではありました。

夜は自宅で何度目かの『ラルジャン』を鑑賞。先日オークションで購入したまま忘れていたのですが、あらためて観直してみても、本作に漂う崇高なまでの残酷さと美しさはまったく色あせることがなく、1本の映画を、ほとんど極限まで削ぎ落とした時に不意に画面にたち現れてしまうもの、その不吉さと背中合わせともいえる何かが映画の核に違いない、などと思い至った次第。こんな映画はブレッソン以外には撮れないのでしょうし、彼の映画を自作の参考にしたというチャン・リュルですらも、『ラルジャン』に比すればまだまだだと思うほかありません。
ここに一切の心理など描かれてはおらず、あるのはただ行為のみという事実には、何回観ても同じ驚きと衝撃が備わっています。80歳を超えてこんな作品を撮りあげてしまうブレッソンとはいったい何者なのか、その疑問はこの後何十年かけても解明されることはないのでしょう。

日付がかわって昨日の日曜日は、非常に楽しみにしていた作品の一つ『孔雀 我が家の風景』をQ-AXシネマにて。やはりと言うべきか、悲しい程の客入りでしたが、映画自体は非常にすばらしく、どれほどの素晴らしさかというと、まるで『輝ける青春』のように素晴らしいと言い切ってしまえるか、と。つまり、142分では短すぎる映画だということです。
チャン・チンチューの繊細かつ芯のある演技だけでも観る価値はありますが、映画ほど世界を見せてくれる芸術はないと信じている私のような方には、この機会を逃すと後悔の念に苛まれることになるので、是非その目である一つの家族の歴史を観ていただきたいと思います。
なお、半券チケットを取っておくと、ダグラス・サーク好きには来月あたりいいことがあります。

2007年03月12日 09:49 | 映画雑記
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