2006年12月11日
「冬宴@京橋」でいくつかの発見をする
自分の服を大量にオークションに出品したり、あるいは友人からイラストを頼まれたりで個人的にいろいろ忙しくて、先週はとてもブログを更新できる状況ではありませんでしたが、週末には7本と半分の映画を観ました。
まずは9日より始まった「ヌーヴェルヴァーグはもうすぐ50歳になる」という特集上映からゴダールの『恋人のいる時間』とロメールの『モンソーのパン屋の女の子』『シュザンヌの生き方』を。ゴダールのほうは途中から入りましたので、半分のみ。すでに観ていた作品ですが、フィルムで観るとやはりまるで違います。後半で産婦人科の医者とマーシャ・メリルが会話するシークエンスにおける切り替えしが印象的で、会話自体がほとんど要領を得ないばかりか、向き合って話しているはずの2人の視線が、一向にあっている感じがしないという。とりわけ、どこまでがアドリブだかわかりませんが、あの時の医者の表情が大変素晴らしいと思いました。思考しつつ話しているという、あの表情が。
ロメールのほうは未見でしたが、冒頭のテロップで“レ・フィルム・デュ・ロザンジュ”という文字を見つけて嬉しくなり、ほとんど理由もなくこれは絶対に面白いに違いないと確信しましたが、結果的にはその通りで、2本とも小品ながら楽しませてくれました。なかなかフィルムで観られない作品ですから、未見の方は是非。『モンソーのパン屋の女の子』のせいか、鑑賞後は無性に甘いものが食べたくなったりしました。
翌日曜日も、はじめはやはり、今日はシャブロルだ!と意気込んでいたのですが、朋友・[R]氏のメールによってその日が「美学校傑作選 冬宴@京橋」の上映日だったことを思い出し、これはまずい、前回の上映会にも行けなかったし、やはりこちらに行かねばなるまいということで、急遽予定を変更しようとしたとき、あ、そういえば山下監督の『中学生日記』も今日だったはずだ、という風に頭が冴えてきたのですが、時間は限られているし、ここは一つ、まだ見ぬ才能に賭けようという思いが強くなってきて、結局[R]氏と待ち合わせ、京橋に向かったのでした。
鑑賞したのは6本。夜には既に予定が入っていたので、最後のプログラムを観る事が出来なかったのは悔やまれますが、その6本にもなかなか刺激的な作品が含まれていて、収穫はあったと思っています。
「冬宴@京橋」の中でも特に興味深かった作品は遠山智子監督の『アカイヒト』で、8mmで撮られたその画面には、なんだか禍々しさすら漂っていて、上映後、[R]氏とともに、あまり日常的な会話で使うことのない“画面の強度”なる言葉をも呟きあってしまうほど。あんな映画をいったいどういう発想から撮ったのか、監督自身の言葉を是非聞いてみたかったです。この映画一作で、遠山智子監督が私にとっての要注意人物となりました。過去作品も是非観てみたいと、アンケートに書いておくんだったと後悔。これは主催の一人であるeigahitokwさんに個人的にお伝えすることにしましょう。
さて、今週末はフィリップ・ガレル2本と『硫黄島からの手紙』をなんとしても観ておきたいなと思っています。たまりにたまってまるで消化できていないフィルメックス作品に関する文章や短評についても、まだ記憶がかろうじて残っている今週中にはなんとか。
2006年12月11日 18:07 | 映画雑記
>オトコとオンナの映画秘湯さん
いえいえ、こちらこそです。
なるほど、講師すらもわからないというのが、なんとも…。まぁしかし、それがわかったところでどうなんだ、というのもありますし、あくまで作品を観た上での判断が重要かと思うので、それはそれで。
非常に多作なんですね。『集い』や『巣』も良さそうで、またまた後悔先に立たずという言葉が思い出されます。
次回も楽しみにしております。
Posted by: [M] : 2006年12月12日 12:11
ご来場ありがとうございました。
遠山智子さんなんですが、どういう発想なのかは関わったスタッフ、キャスト、更に講師すらも判らないそうです。お役に立てず申し訳ありませんが、どうして判らないかは今度お逢いした際にでもご説明いたします。遠山さんの作品はウチの上映会ですでに『集い』、『巣』をやっていて残るは『亀の歯』と『あいな』ですね。何らかの形でリクエストにお応えできるように致しますので、これからも宜しくお願い致します。
Posted by: オトコとオンナの映画秘湯 : 2006年12月11日 20:05