2006年09月19日

今観るべき2本のアジア映画

この連休中で5本の映画を観ましたが、その内の2本の出来栄えには心底驚かされ、あまり軽々しくそう言ってしまうことには抵抗があるものの、やはり傑作と言いほかないという結論に達した次第です。そしてこれは偶然なのかどうか、その2本がいずれもアジア映画であったということ、さらに、それぞれがまるで異なる趣の映画だったということが嬉しくもありました。

もちろん、若干うとうとしてしまったので何も言う資格はないものの、『太陽』におけるユーモラスなやり取りや尋常ならざるシークエンスショットは興味深かったですし、あるいは『マッチポイント』におけるスカーレット・ヨハンソンの前半と後半のキャラクターが変貌していくあたりも悪くはなかったです。または『40歳の童貞男』における、下品さをギャグと友情と恋愛とで帳消しにしてしまう強引な展開などはいかにもアメリカ的であり、これも小品ながら観て良かったと思わせる作品ではありましたが、それにしてもやはり、前述した2つのアジア映画におけるエンターテインメント性・芸術性・作家性、どれをとっても感動的であり、私としてはこちらのほうをより賞賛したいと思っています。

さて、本来であればここでその2作品の名前を挙げたいところですが、それもあまりに芸が無さ過ぎるのではないかとも思われるので、以下ではそれぞれに思いつくいくつかの抽象的な言葉を断片的に挙げ、それらの言葉に反応した方が劇場に足を運んでいただければ。

アジア映画(1):ジャンル映画/家族/水/非情/爽快感
アジア映画(2):雨/長回し/愛/足音/詩情

最後に付け加えておくと、諸事情により溝口特集に足を運べなかったことは残念至極でした。この連休を逃すと、もう恵比寿にはいけないかもしれません。それともう一つ、『パビリオン山椒魚』の混雑は予想以上で、『ゆれる』の教訓をいささかも生かせなかった自分に呆れましたが、そのおかげで前述のアジア映画を観る事が出来たので、それはやっぱり幸運だったと言うべきでしょう。先週はせっかく「冨永昌敬特集」を観たので、次回の『パビリオン山椒魚』は是非早めに行ってチケットを確保したいと思います。

2006年09月19日 11:50 | 映画雑記
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/683
Trackback
Title: 『楽日』の雨と足音
Excerpt: この映画、見る人によってめちゃくちゃ色んな感想があるだろうけど、僕にとっては「雨
From: Days of Books, Films
Date: 2006.09.19
Comments

>ヴィ殿

はい、やっと観ました。
『西瓜』の時にでもゆっくり話しましょう!
しかし、『楽日』はレビュー書くのが難しい。。


Posted by: [M] : 2006年09月29日 17:01

>(2)
やっと観ていただけましたか!!!!!!!!!
こんど語りましょ〜(笑)。


Posted by: こヴィ : 2006年09月29日 16:17

>雄さん

レビュー拝読させていただきました。
もはや名前を隠すまでもありませんが、実はツァイ・ミンリャンを観たのは今回が初めてでした。友人からも薦められてて大分前から気にはなっていたのですが、どうせなら劇場でと思い、本作を鑑賞したのです。
雄さんが仰るように、本作における身体性は、例えば『ジェリー』におけるそれに近いようにも思われ、私もあの女性の歩行のリズムに完全にやられてしまいました。
鑑賞後、遅まきながら一人の作家を発見して思わず笑みがこぼれました。だから映画はやめられない、なんて思いました。

レビューは書くと思いますが、言いたいことは雄さんにほとんど言われてしまった、という感じです。

お時間があれば(1)のほうも是非に。


Posted by: [M] : 2006年09月20日 09:17

「若干うとうとで何も言う資格はない」なら、私はアジア映画(2)はもとより、何も言えない映画がずいぶん増えてしまいます。昔、ゴダールでうとうとしたときは自己嫌悪に陥りましたが、最近では快いから寝るんだと開き直っています。[M]さんの(1)(2)のレビューが読みたいものです。


Posted by: : 2006年09月19日 22:22
Post a comment









Remember personal info?