2006年08月17日

酒と共に語る

先日少し触れましたが、昨日はmixiで知り合ったお二方と「70〜80年代アメリカアクション映画について語る」と題した集まりがありました。お二人とは随分前に一度お会いしていたのですが、その時はゆっくりお話出来なかったので、今回、改めて存分に語らおうということになったのです。

さて、改めて告白するまでもありませんが、私にとって“70〜80年代アメリカアクション映画”というジャンルを語るというのは非常に困難です。映画を本格的に見始めた時、私の興味はどちらかと言えばヨーロッパ映画、しかもより“芸術的”といわれるような作品にあったので、なかなかそのジャンルに興味が向かなかったからです。もちろん、しかるべきアメリカ映画は観ていたものの、その邦題がいかにも通俗的で出鱈目極まるB級アクションに関しては、ほとんど敬遠すらしていたと言えるでしょう。そんな中でかろうじて出合った監督たち、つまり、ロバート・アルドリッチやリチャード・フライシャー、サミュエル・フラーやサム・ペキンパー、あるいはドン・シーゲルやクリント・イーストウッドらに関しては例外的に偏愛し、それは今でも変わりませんが、そういった“教科書的”なセレクトの域を出ることはなかったのです。

そんな私にとって、昨日の集まりは刺激に満ちていました。
とにかく彼らが観てきた映画(とりわけ80年代アクション映画)の本数は途方も無く、聞こえてくる映画のタイトルを追うのがやっとでした。彼らの知識はそのストーリーに留まらず、何十人ものスタッフやキャストの名前が縦横無尽に引用され、そして素晴らしいことに、それらの作品や人物への惜しみない愛情が聞いている私にも伝わってくる。ああ、なんていう人たちだろう、彼らのような人間にここまで愛されるのなら、不毛の80年代B級アクションも報われるだろうなぁ、と感慨も深く、彼らの10分の1も映画を観ていない私まで幸せな気分になってくるのでした。

今回、共通認識として皆である映画を事前に観ておいてください、と言われていました。その映画は、恐らくこういう機会でもない限り私が観る事が無かったであろう『L.A.大捜査線/狼たちの街』というアクション映画でした。ウィリアム・フリードキンが1985年に撮った本作、観てみると、これがまたとんでもない魅力に溢れている。フリードキンを大して知らなかった私の目を、ほとんど冷水をぶっ掛けて一気に覚ましたのです。なるほど、北野武の初期の狂暴さは、この延長線上にあったのかと納得もさせられます。
この作品が、それこそ血肉となっているようなお二人の会話は聞いていて本当に面白く、そこからはもう、映画好きならではの会話の展開、すなわち、一人のスタッフを基点に別の作品へ、そこから同時代に撮られたまた別の作品へ、今度はあるキャストを深く掘り下げ、またその人物を基点に別の作品へと、4時間以上ぶっ通しで語り合うというものでした。私も何とか自分の知識を総動員してみたものの、またもや“世の中上には上がいる”という思いを強くなるばかりでした。が、同時に、これまで私が弱かったこの手のジャンルに対する渇望が涌いてきたので、その意味でもかなり刺激的な体験でした。

ここでは、昨晩話題にあがった映画のタイトルを全て出すことなど到底出来ませんが、いかに濃い夜だったかは、何となく伝わったでしょうか。この集まりを1年も続けたら、私の弱点もかなり補強されるはずです。
では最後に、水野晴男よろしくこのようにまとめておきたいと思います。

いやぁ、酒と共に映画を語るって、本当にいいものですね。それではまた、ご一緒に楽しみましょう

2006年08月17日 13:22 | 悲喜劇的日常
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Comments

>tada-woさま

こちらこそ楽しかったです。前回とは打って変わって、今回は濃密な時間が流れていました。
「殺しの分け前 ポイントブランク」も私の宿題とさせてください。
リー・マーヴィン主演なら、やはり見ないわけにはいかないでしょう。
次回もよろしくです。

>Chocolateさま

いやぁ、恐らくイメージされているよりもずっと濃かったと思います。
仰るとおり、映画の話をしながら飲んでいる時は、相当幸せな気分になりますね。
ブログやmixiを始めるまではそういう話を出来る友人が少なかったので、
そういう面でも、このブログを続けてきた甲斐があったというものです。


Posted by: [M] : 2006年08月21日 17:21

こんにちわっ。

楽しい宴だったみたいですねー。
しかも濃そうじゃないですか・・・(笑)

でも共通の趣味や話題で盛り上がれるのって楽しいですよねー。
私も映画好きで集まる時はすごく楽しいですね。♪


Posted by: Chocolate : 2006年08月21日 13:56

度々ながら、先日はありがとうございました。
前回お会いしてから間があったので少々心配でしたが、杞憂に終わってホッとしてます。
そういえば、リー・マービン主演の「殺しの分け前 ポイントブランク」についてお話するのを忘れてたので、次回でお相手下さいませ。


Posted by: tada-wo : 2006年08月18日 19:24

>丸山様

改めて、先日はありがとうございました。
あれだけ沢山の作品について話しても、まだまだアメリカ映画は語りつくせませんね。
もっとも、私は未だ語れるほど70年代作品を観ておりませんので、日々精進するしかありません。

リチャード・ハリスにチャック・ノリス・・・
次回までの宿題を多くこなさなければならない私ですが、それだけ楽しみが増えるというもの。
次回も是非お願いします。


Posted by: [M] : 2006年08月18日 12:03

 いやー、昨夜は本当に楽しかったです。
 久しぶりに腹を割ってどころか、はらわたをさらけだしてお喋りしてしまいました。
 実はまだ、語りきれてない部分もあったりするのですけどね。例えば「70年代アクションにおけるリチャード・ハリスについて」とか。
 きっと、戦前のコメディについて語り合う筒井康隆と小林信彦も、こういう楽しさを共有してるんでしょうね。


Posted by: 丸山 哲也 : 2006年08月17日 18:21
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