2006年06月26日

マザー、さん

先週末、久方ぶりに親孝行でも、というわけでもなかったのですが、母親と食事をしてきました。
普段はまるで電車に乗ることなどない母を、溜池山王まで来させるのは非常に困難を極めます。大体実家から1時間ほどかかるのですが、電車に乗らない母は、車中での時間の潰し方もわからず、ただひたすらボーっとしていたのだそう。本当はそんなところまで出向いてくるのは嫌だったはずですが、生来の自己中心的人間である私を心得ている母は、それを嫌がれば食事の機会を逸すると言うことを重々承知していたのでしょう。慣れない道程ですから、30分も早く着いてしまったらしいです。

ほとんど思い出したときにしか連絡もしない親不孝な私ですから、こういう時にしか母親の近況を聞いてあげられる機会がないのですが、どうやら素晴らしい引退生活をしているようで。旅行が好きなのは前から知っていたのですが、まさか毎月のように外国へ旅行しているなどとは思いませんでした。外国語が苦手な母が、身振り手振りで図々しさを最大限全面に押し出しながら外国人と会話している様が目に浮かび、まぁそこまで生活を楽しんでいるのであれば、こちらが心配することなど何もないなぁ、といささか拍子抜けした次第です。一応気を使って、「今日は俺が払うよ」などと言う私を尻目に、「どうせあんたお金ないんでしょうが」と言い放ち会計をすませようとする母は、隠居後の孤独で暗い生活という貧しいイメージからは程遠く、一応元気に一人暮らしを楽しんでいるはずの私の財布の心配までする母を見るにつけ、突如、“親孝行したい時に親はなし”という言葉が、実はこの場合には当てはまらないな、と思った次第。正しくは、“親孝行したい時に、親は旅行中”という感じです。まぁそれはそれで喜ばしいことではありますが。

実はその日、15:00頃から映画を観る予定を組んでいたのですが、昼に待ち合わせて、散々食事をゴチになった挙げ句、「じゃぁ俺は映画に行くから」とは流石に言えず、食事の後、喫茶店にまで付き合って、私はそこでもビールを2杯ほど飲み、食事の時に飲んだワインとあわせてかなりいい感じになってしまいました。で、結局は映画にも間に合わず、それでもまだタイミングがあう映画は無いだろうかとケータイで探してはみたのですが、その内眠くなってきまして、結局は映画を観ずに帰宅しました。

というわけで、土曜日に映画を観られなかったので、日曜日は何とか1本、『花よりもなほ』を鑑賞。先週は平日にシネマアートン下北沢で『セキ☆ララ』と『童貞。をプロデュース』を観ていたので、個人的なノルマは消化できました。
で、『花よりもなほ』ですが、思ったとおり劇場は満席に近く、しかし、すぐ上の階で上映していた『デス・ノート 前編』の混雑振りのほうが凄くて、まぁ私は観ないでしょうから関係ありませんが、その光景を見るにつけ、先日のシネマ・アンジェリカの寂しさが思い出され、だからといって無力な私はどうすることも出来ず、せめて今度あそこに行く時には誰かを誘って行こう、などと悠長に考えるのでした。

それぞれの映画については、別途。
『花よりもなほ』では、またぞろ隣の隣の女性客2人組が、上映中普通に(!)会話し始める始末で、ああいう客をブラックリストに入れて、次回来た時にはにべも無く入場を断るような、そんな制度が確立しないものだろうかと、またしてもありえない空想に浸り、鑑賞後の高揚感とは別種の、表現しがたい不快感に苛まれつつ、日曜日を終えました。

2006年06月26日 13:45 | 悲喜劇的日常
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Comments

>chocolateさま

こんにちは。
私もママンとは映画になど行きませんね。
マンマ(←ここでは母の意)はとてもよく食べるので、やはり食事に行くのが最も相応しいかなと思います。

この文章を書いて、皆さんの反応を読むと、もう少しくらいはそういう機会を持ってもいいかもしれないと思うようになりました。
次回会った時にでも、このブログのことをママンにも話してみるとします。
まぁ実家にはネット環境が整っていないんですけど。


Posted by: [M] : 2006年07月11日 18:39

こんにちわっ。

ママンとの心温まるEP、いいじゃないですか〜
でも両親が元気だと安心しますよねー。
たまにはママンとデートしてあげて下さい。

ちなみに私は両親とはわりと出かける方かな〜?
うちのママンは食べることと買い物が好きなもんで。
残念ながら映画は一緒に行きませんねー。(笑)


Posted by: chocolate : 2006年07月11日 09:43

>ヴィ殿

そうそう、貴兄が反応してくれないと。あるいは[R]君か。
まぁ内容とは一切関係ありませんので、あまり突っ込まれると困るのですが。
『ナイロビの蜂』、楽しまれたようで何より。
7月も「ドイツ映画祭」でお会いすることになるでしょう。


Posted by: [M] : 2006年06月30日 09:41

スミマセン!新着気づかず読み忘れてました(私がタイトル反応すべきでしのに…)。しかしこれはほんとに良い日記ですねー。


Posted by: こヴィ : 2006年06月30日 03:33

>eskamさん

2通連続で似た内容のコメントをいただき、ありがとう。
多分まちがえたかな、と思ったので、後に来たほうを生かしておきました。もし「両方だボケ!」ということでしたら、言ってください。反映させます。

まぁ何にせよ、楽しみがあるというのは良いことです。息子としては、どんどん楽しんでくれと言いたいですね。

それにしても、こういう内容のほうが反応がいいみたいです。なるほど、と思いました。一応、タイトルは映画にかけたりして、何とか映画と関連付けようとしているんですよ、これでも。


Posted by: [M] : 2006年06月27日 16:42

親子水入らずの食事会なんて素敵。
私も大きくなったjyoから、たまには思い出して連絡が欲しいものだ。
にしても、お母様、毎月海外なんて人生を謳歌してますねー♪
私もそんな引退生活を送りたいものだ!


Posted by: eskam : 2006年06月27日 16:05

>エノキさん

いえいえ、そんな大層なものではありませんよ。強いて言えば、母親の体型が、イタリア映画のマンマ(!)もかくや、とばかりに肥大化している部分が、映画的だと言えなくもありませんが…その明るさも含めまして。

実は土曜日、『初恋』も視野に入れてました。そうですか、満席でしたか……宮崎あおいを甘く見てました。まぁそうですよね。『初恋』は私も観たいなと思っています。観たらお互い感想を交換しましょう。


Posted by: [M] : 2006年06月27日 13:07

素敵。
なんか映画みたいに映像が浮かびました♪
そうなんですよね、こっちが心配してる時に限ってすっごく元気で拍子抜けって私もよくあります(笑)
でもほんとそれでいいんですよね。
ママさんもきっと幸せな一日だったことでしょう。

土曜日は私もめずらしく映画館で映画を観ようと思ったら満席で入れず今週こそは観ますよ、前売り買っちゃったし!映画は『初恋』です。


Posted by: エノキ : 2006年06月27日 12:44

>ぽちょむきんさん

そうでしたか。
気づいた時には遅い、などとよく言われますが、その時感じた思いを後の人生に生かしていければ、遅いなどということはないと思われます。
私も恐らく、そうなって初めて気づくのかもしれません。


Posted by: [M] : 2006年06月27日 11:26

>tamiさん

コメントありがとうございます。
娘と父というのは、私には想像もつかない関係性なのかもしれません。私など、たまに食事するくらいで普段は忘れているくらいですから、あれくらいで親孝行もあったものではありませんが、若いときにはそのようなことが全くなかったことを考えると、まぁ私も年齢とともに、家族に対する心境が微妙に変化してきているのだろうと思います。

ところで、tamiさんも酔った上での暴食癖があるんでしたね。私は最近は意識的に気をつけています。それもひとえに、夏がもうそこまで来ているから。おかげで最近は、何となく健康っぽい気がします。tamiさんもギリギリセーフでしたね。そこに歯ブラシでも突き刺さっていたら、その時はかなり深刻な事態ですから再度ご報告いただければ。

トム・クルーズの良さは、一見“薄っぺら”であるかに見えて、実は本当に“薄っぺら”だと確信させる寸前に、いや、これこそがトム・クルーズなのだと強引に納得させてしまう部分だと思っています。渡辺謙の好き嫌いは別として、『ラストサムライ』も『宇宙戦争』も、私はそのように観ましたし、近く正式に公開される『M:I:III』もまた、その意味で楽しみにしてます。
『下妻物語』は良いですよ。是非ご覧下さい。


Posted by: [M] : 2006年06月27日 11:20

いい日記ですな。。

ヲレはこないだ(ガキの頃相当カワイがってもらった)母方の叔母を亡くして、、、身内の存在のデカさってのを、今さらながら強烈に感じました。


Posted by: ぽちょむきん : 2006年06月27日 10:05

親孝行はすばらしいことです。

という私は先日開かれた家族とのBDで、父親と大げんかの挙げ句、父の知人のお店で大泣きをやらかしてしまいました。

父とは永遠にわかり合えないと知りつつも、似た者同時(攻撃的なところが)なため、他の客の視線を顧みずに号泣した31歳/女っす。

ちなみに兄と母は困り果てた顔を。

私はさんざん泣きつかれ、実家へ行き、その後の記憶は定かではないが、朝は家で目が覚めましたとさ。

ちなみに土曜日は友人宅でホームパーティ。朝目が覚めたらボリュームミックス弁当がおいてありました。でも大丈夫。今回はビニールを三分の一破ったところで理性が効いたのか力つきたのか、キッチンに放置されてました。

翌朝自分をほめたことは言うまでもありません。

ところで普段まったくといっていいほど映画館へは足を運ばないのですが、DVDは観ていて、こんな時期にとった感じですがラストサムライを観ました。本当にこんな遅くにって感じですが、渡辺謙の演技力に圧倒されてトムクルーズが薄っぺらく感じました。

もっかI澤さんとT岡さんが声を大にして「無条件に元気になる」という下妻物語(これも大分遅いのですが。。。)を観ようと思ってます。

Mさんのブログを読破できる日はまだ遠いですが。。。


Posted by: tami : 2006年06月26日 20:49
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