2006年06月30日
『花よりもなほ』には、強いて文句をつける箇所もない
原題:花よりもなほ
上映時間:127分
監督:是枝裕和
確かに『誰も知らない』の次が“人情時代劇エンターテインメント”と聞けば、いささか驚きを隠せませんでした。しかし、是枝監督が描こうとしていたものが、やはりと言うべきか、“その先に見えてくるもの”だということがわかった今、これだけのキャストを出演させてでも彼がやりたいことはあまり変わっていなかったのだろうと思います。
本作のキャストは本当に豪華過ぎるほど。そして衣装にも美術にも並ならぬ拘りが感じられました(スタッフがまた…)。古田新太のキャラクターがいかにもはまり役で、彼を中心とした掛け合いの妙(いわゆるボケとツッコミ)は悪くなく、その他ベテラン勢の演出も安心しきって観られるものでした。
是枝監督の映画作家としての力量は、本作のような喜劇においてもいかんなく発揮されていたのではないでしょうか。現在、時代劇を多くの観客に向けて作るとはこういうことか、と関心した次第。
まぁ四の五の言わず、こういう作品は観て楽しんでください、ということで。
2006年06月30日 17:48 | 邦題:は行
>Mouさん
どうもです。談志師匠は公式サイトでも「見事也。この一言に尽きる。」などと書いておられました。特に落語家の方には刺さる映画なのでしょうかね。
>Ken-Uさん
こんにちは。
Ken-Uさんが仰ることはわかります。実を言えば、キム兄に関しては、私もやや疑問を感じながら観ていました。何故か途中から彼の発言が“普通っぽく”なってきたように思え、まぁ彼のような役があの長屋には必要だったのだろうとも納得させるのですが、若干の上滑り感を私も感じました。
宮沢りえは確かにかなり強引に岡田准一の復讐を制する役回りでした。しかしまぁ、彼女の過去が一応後半で明かされるし、それを岡田准一が知って子供を抱くシーンなんかは、悪くないシーンだったので、私的には結果オーライという感じでした。
そうですね、監督の動向には今後も注目していきたいと思います。
Posted by: [M] : 2006年07月03日 09:47
おじゃまします。
たしかに、強いて文句をつける箇所はないのかもしれません。でも、あえて言うと、宮沢りえとキム兄の役回りがイマイチしっくりきませんでした。宮沢りえの台詞は身も蓋もないものが多く、キム兄は上滑り気味というか。でも、このふたりがいることで、この作品の間口が広がっているということも理解できるんですよね。
是枝監督はとても好きなんですが、この先、どういう路線で進むのかが気になるところです。
Posted by: Ken-U : 2006年07月02日 17:13