2006年03月06日

月曜日の雑感〜孤独なライブと『忘れえぬ想い』と『美しき野獣』と第78回アカデミー賞

先週の土曜日は、某ミュージシャンのライブに行ってきました。
最後に(自発的に)ライブに行ったのはいつだったかと思い起こせば、大学生の時。某海外のロック・ミュージシャンを観に武道館まで足を運んだのが最後です。そしてこの度、約10年ぶりのライブに行くことになったのですが、そこで学んだ最大の教訓は、ライブは一人で行くべからず、というものです。普段一人で行動することが多い私ですが、ライブにだけは一人で行くべきではなかった…
ほとんど孤独に苛まれて過ごす開場までの待ち時間、あれは辛かったです。しかも、周りを見渡せば私よりも随分若い女性が多いこと…。最前列でライブを聞くという特権に恵まれながらも、その特権が後方からのものすごいプレッシャーにより潰えてしまいそうにもなり、それにたった一人で抗わねばならない困難は並大抵ではなかったのです。まぁライブ自体はかなりの盛り上がりを見せ、特に行ったことを後悔しているわけではないのですが、一人で行くこと絶対にやめようと思いました。

さてさて、先週観た映画は2本。
シアターNにてイー・トンシン監督『忘れえぬ想い』、そして、シネ・アミューズにてキム・ソンス監督『美しき野獣』です。共に、先に書いた「必見備忘録 2006.3月編」で予告したとおりですが、出来栄えには大きな差があり、前者のメロドラマぶりには完全にノックアウトされ、後者のアメリカン・ニューシネマぶりにはいささか懐疑的にならざるを得ず、それと同時に、『ミュンヘン』の凄さを改めて思い知ることになるのですが、その辺りもこちらの予想を大きく裏切ることがなかったので、想定の範囲内ということで。
『美しき野獣』に関して一言加えれば、その余りの客入りの悪さに、所謂“韓流ブーム”の終焉を感じ取ってしまったということです。あるいはそんなブームとは無縁の領域で、この映画のただならぬ暗さが負のクチコミとなったせいでしょうか、ともかく、ギリギリで間に合った開場時間過ぎの劇場には10人にも満たない観客しかおらず、少なくとも昨年幾度か体感したブームの熱は感じられませんでした。まぁ作品が作品として冷静に評価されるようになったのであれば、それはそれで良いことだと言えるのでしょうが、恐らく現状ではまだそのレヴェルには達してはいないような気も。

『忘れえぬ想い』に関しても付け加えれば、どこかで観た事があるなと思っていたら傑作『ブラックマスク』にも出演していたことを思い出したラウ・チンワンは『ブラックマスク』よりもさらにいい具合で、中でも、バスの運転をセシリア・チャンに教えるシーンは本当に素晴らしく、ただ甘いだけのメロドラマにはないアクションとしての面白さを堪能できます。たまにはメロドラマで泣いてみたいという方、必見です。

最後に本日発表された第78回アカデミー賞に関して。
今週末の『トラッシュ』は激混みが予想されるので、未見の方は平日の最終回とかを狙ったほうがいいかもしれません。初日に観ておいてよかったです。言うまでもなく必見。
個人的にどうしても助演のイメージが強かったフィリップ・シーモア・ホフマンの主演男優賞ですが、彼の演技力を考えれば驚くに値しません。『カポーティ』は秋の公開になるようです。
そして遅まきながら決意したのは、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』はやはり観なければならないということです。テアトルタイムズスクエアにはあまり行きたくなかったのですが、こうなったら仕方ありません。というように考える人が、やはり今週末に殺到することでしょう。

2006年03月06日 18:06 | 映画雑記
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/555
Trackback
Comments

>かえるさま

早速ありがとうございます! スケジュール拝見しました。『ピアニスト』以外は全部観るつもりです。日本最終上映ということで、なおさらですね。

>落ちたのは馬だったんですっけ?

仰るとおりですね。ロバ(ラバ?)でしたね、あれは。荷物ごと落ちていった、という感じだったような気がしてきました。あのロバが後ろ足から滑っていくサスペンス(ほんの一瞬でしたけど)、あそこは興奮しました。

『ミュンヘン』、実は私もこっそり……


Posted by: [M] : 2006年03月16日 12:30

ハネケ特集についてはユーロスペースのサイトにはまだアップされていないみたいですね。一応myブログに日程と作品を記してみましたので、ちらしGETがまだでしたら参考にしてくださーい。

*メル
落ちたのは馬だったんですっけ?
映像ではわからなかったんですが、残った奴らを見て、ロバだったんだと思ったような・・・。馬はかしこいので怯えないに違いないと思ってみたり・・。

ミュンヘンは二度目鑑賞をしてしまいました。


Posted by: かえる : 2006年03月16日 11:50

>[R]殿

なるほど、『ミュンヘン』を非難…ですか……
まぁアメリカでもいろいろ言われているくらいですし、『宇宙戦争』だって散々だったわけですからね。

実は私も手放しで激賞しているわけではないのです。しかしながら、スピルバーグに対する新たな発見の手ごたえは確かにありました。マチュー・アマルリックも出てますから、その意味でも[R]さんには観ていただかないと!

キム・ギドクの重要性はまた別の話として、やはり注視すべきだと思ってます。「韓流」などはなから存在しなかった、今はそう思うようにしています。


Posted by: [M] : 2006年03月08日 19:05

『クラッシュ』は是非とも行かなければ…。
『カポーティ』がとても気になります。公開が待ち遠しいです。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技はツボです。昔から大好きです。
周りの友人たちがみんなして、『ミュンヘン』を大非難しております。
[M]さんのレジスタンスが、僕を劇場に運ばせることでしょう。
しかしやはり、プライオリティが高いのは『うつせみ』ではあるのですが、
キム・ギドクはもはや「韓流」には関係ないでしょうね…。


Posted by: [R] : 2006年03月08日 16:57
Post a comment









Remember personal info?