2006年03月24日

「イタリア映画祭2006」に絶対参加しなければならない理由

cinemaitaliano.jpg今年もゴールデンウィークの真っ只中に開催される「イタリア映画祭2006」。先ごろ閉幕した「フランス映画祭2006」には結局参加できず、とりわけ今度いつ公開されるかわからないジャン=ピエール・リモザン監督の新作『カルメン』だけは観ておくんだったと後悔することしきりですが、それでもまぁ私の消極的な姿勢に端を発するのでしょうがないと言えばしょうがないと諦めもつく「フランス映画祭2006」とは異なり、来月開催される「イタリア映画祭2006」だけは何としてでも参加せねばと決意しているのは、ただ単に今の私にとってフランス映画よりもイタリア映画のほうがより重要であるというよくわからない理由によるのですが、「イタリア映画祭2006」で公開される12本は、いずれも日本で観ることが困難な作品ばかりで、しかしそんなこと言うなら「フランス映画祭」の作品だってなかなか公開されないものばかりじゃないかと言われればそれまでなので、このことは一端さておくとして、一昨年も昨年も、いずれも都合が合わなかったとはいえ参加することのなかった「イタリア映画祭」に、何故今年はそこまで執着するのかということをちょっと考えてみたいと思います。

最も大きな要因は、昨年DVD-BOXとして発売された「イタリア映画祭 傑作選」、そしてやはり個人的に昨年最大の衝撃と言っても過言ではない『輝ける青春』の存在、これらが私に与えた影響はことのほか大きかったということなのだと思います。
「イタリア映画祭 傑作選」に収められた3本のイタリア映画、私は旧ユーロスペースで開催された特集上映で初めてその存在を知ったのですが、それらはすでに過去の「イタリア映画祭」で上映されたもので、つまり、私にはその時まだ、「イタリア映画祭」に対するアンテナをそれほど高く掲げてはいなかったということになるのでしょう。その時の特集上映で1本、そして先述したDVD-BOXから2本を鑑賞するにつけ思い知ったことは、「ああ、遅過ぎた…」という自責の念に他ならず、とりわけ90年代以降のイタリア映画に対する繊細な感性を、自分は何と欠いていたことかということだったのです。

嘗てはロッセリーニが、フェリーニが、アントニオーニやパゾリーニが、そしてもちろんヴィスコンティやベルトルッチが、さらに言うならフェレーリが、私にとってのイタリア映画でした。彼らを発見して以来、今なおその存在は私の中でも非常に大きいと言えるでしょう。しかし、90年代以降のイタリア映画を、私は数えるほどしか観ていません。それはもちろん、日本に入ってくる作品の絶対数が少なかったということもあるのでしょう。しかしそれにも増して、私の中に、現在のイタリア映画に対する飢餓感がほとんど存在せず、意識的に無視していたのならまだしも、記憶の中に存在する過去のイタリア映画と戯れること以外、ほとんど自堕落にイタリア映画を意識の外側に位置づけていたのかもしれません。

そんな時に出会ったのが先述した3作品であり、そして、『輝ける青春』でした。それらの作品は、極めて冷たい水をぶっ掛けるように、私の目を覚まさせたのです。そして、現在のイタリア映画を無視することの愚かさを、改めて私に教えてくれたのでした。
もちろん、それはほとんど偶然であり、その4作品がたまたま私の好みだっただけなのかもしれません。しかし、これまでの私と映画との出会いなどそんな偶然の集積だったのだと思えば、やはり、私は意識を改めなければならない、今はそう思っています。今回の「イタリア映画祭2006」に是が非でも参加したい理由は、概ねそんなところです。

とはいっても、もろもろのスケジュール鑑みると、参加できるのは2作品くらいになりそうです。本来ならば、日参すべきところなのですが、こればかりは致し方ありません。
これだけは絶対に観るぞ、と決めている作品がある方、是非是非コメントいただければと思います。とくにこれまでの「イタリア映画祭」に参加した経験のある方のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

2006年03月24日 14:18 | 悲喜劇的日常
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Comments

>[R]殿

まぁ期待が裏切られることはよくあることですから。実際、ジョルダーナやピッチョーニに期待するなというほうが、私にとっては無理なわけで。
『息子の部屋』を観たのはもう随分まえなので、確かに再見したいですね。


Posted by: [M] : 2006年03月30日 18:28

『瞳を見ればわかる』は正直迷いましたが、過度な期待を持ち過ぎてしまいそうで…
ナンニ・モレッティの毒気(?)はなさそうだったし、デビュー作なので見送りに。
[M]さんに「味見」をお任せしたいと思います。

我らのジャスミン・トリンカ様、全くノーチェックでした! 
「恋愛中」の彼女も観てみたいけど、作品的には少し「冒険的要素」が強い気が…。
近々、『息子の部屋』のジャスミン・トリンカを見直そうと思っております。


Posted by: [R] : 2006年03月29日 22:11

>輝ける[R]殿

[R]君に触発されて、昨日もう一枚指定券をとってしまいました。5/4の『13歳の夏に僕は生まれた』の後、『瞳を見ればわかる』という作品です。ナンニ・モレッティ制作でステファニア・サンドレッリが出ていたので。そういえば、我が愛しのジョルジアことジャスミン・トリンカは『恋愛マニュアル』という作品に出演しますね。最後まで迷いましたが、日程的に断念しました。

『輝ける青春』は、私も昨日何人かにメールした次第です。間違いなく満席でしょう!


Posted by: [M] : 2006年03月29日 12:29

5作品券も、扱いは自由席券と同じみたいです。
ただチケットの値段が安くなるという利点だけですね。
でも学生だと一本900円ですから! 日参も苦じゃありません。
入場整理券が、当日朝9:30(初日は11:00)からっていうのが、ちょっとしんどいけど。

“輝ける”情報を学友たち10人くらいにメールしてしまいました。
この作品を見逃すなんて、君たち映画人ではない!と脅してやりました。
そしたら、結構みんな集まりそうです。そして、僕も行きたくなってきました。
たぶん行きます。翌日昼からバイトだけど、ジョルジアに元気もらえば…。


Posted by: [R] : 2006年03月28日 01:00

>[R]殿

やっぱり5作品券買ったほうがよかったかな。これからでも買えますかね?(あれは当日並ぶんですっけ?)

そして、まさに“輝ける”情報をありがとうございます。
早速mixiでこヴィ氏に教えてあげました。
私は多分行けないと思いますが、またぞろ周りに強力プッシュしておきます。


Posted by: [M] : 2006年03月27日 17:05

さきほど、前売り券を購入してきました。

『13歳の夏に僕は生まれた』はもちろんですが、5作品券(予約)では、『私が望む人生』『見つめる女』『哀しみの日々』『クオ・ヴァディス、ベイビー?』 『心の中の獣』を鑑賞予定です!

ほとんど直観によるセレクト。ジョルダーナ作品以外は、この順番通りになると思います。学生料金のおかげで気負わずに観れそうです。嗚呼、楽しみ。

4月8日に銀座テアトルシネマで、『輝ける青春』のオールナイト上映がありますね…。自分は行けるかどうか分かりませんが、友達に勧めようと思ってます。


Posted by: [R] : 2006年03月27日 16:21

>mouさま

ご無沙汰してます!
『ペッピーノの百歩』はdvdですが観ました。傑作でしたね。あれでジョルダーナ監督の評価が一気に決まりました。その時短い短評を書きましたので、よろしければ。映画短評という部分になります。左のメニューからどうぞ。(本当に短いですけど)
ヴェネチアで観られたなんて、羨まし過ぎますよ! 流石です。


>ワカさま

どうもです。
『家の鍵』は『輝ける青春』と同じく岩波ホールですね。4/21にとうとうDVDが発売されます! もち購入予定です。

なるほど、やはり好評でしたか…
今取っているのは作品のみですが、あれって当日券の入手は可能なんでしょうか? 目当ての2作品ついでに、その日観られる作品を観てしまおうと考えているのですが、甘いかな…?

今回は銀座でも絶対に行きます!


Posted by: [M] : 2006年03月27日 12:53

[M]さん、ぼくもイタリア映画派ですが、『輝ける青春』と同じ監督の『ペッピーノの百歩』、これも傑作ですぞ! ヴェネチア映画祭で見て、滂沱の涙でした。早く感想を読みたいなぁ。


Posted by: mou : 2006年03月25日 04:57

Mさんこんばんは

私、昨年初めて友達に誘われ5作品券を購入して観るにいたりました。
その中でも印象的だった「家の鍵」は公開が決まったようで確かもうじきとか。
Mさんが以前より絶賛されてる「輝ける青春」は残念ながら未見ですが。
当時毎回予告が流れたので、すっかり観た気でした!
今年も発売日に友達が5作品券をチケットぴあで購入したところ予約番号が1〜3番だったとかでちょっと自慢してました(3人で行くので)去年もかなり盛況でしたよ。
5作品券は前もって作品を予約しないといけないのでとりあえず「聖なる心」「恋愛マニュアル」「クオ・ヴァディス・ベイビー」(特にこれは最近のイタリア映画ではかなり好みな『ぼくは怖くない』の監督の新作で一番の期待)あたりは押さえようと思ってます。
銀座が苦手なMさんもぜひ足をお運び下さいませ。


Posted by: ワカ : 2006年03月25日 01:01
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