2005年11月21日

でも、ニコラス・レイはお預け

結局、先週レンタルしたヴィデオのうち4本は延滞し、内1本は観られずに返すという、まぁいつもながらの体たらく。以下、観たヴィデオの雑感を。

『ロシュフォールの恋人たち』は、もちろん素晴らしいというほかない作品ですが、山田宏一氏の名著「増補 友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」(平凡社ライブラリー)の中の一篇“ロシュフォールの三日間”をあわせて読むと、実際に見てもいない撮影当時の模様が甦ってくるようで、何とも幸福になりました。
冒頭、ロシュフォールのコルベール広場にキャラバンが到着してから最初のダンス、流麗なカメラワークはドルレアックとドヌーヴがバレエのレッスンをするアパルトマンの窓を捉え、シーンは室内に切り替わる。この時点ですでに本作に魅せられてしまうのですが、その後「双子の歌」を歌う2人の愛らしさといったら! ダニエル・ダリューとドヌーヴが母娘という設定ですが、これは『8人の女たち』を遥かに準備していたと理由も無く言いたい気持ちに駆られます。
撮影監督は『ロバと王女』同様にギスラン・クロケですが、彼が撮影したブレッソンの作品を一本も観た事が無いことを思い至り、今週末あたり渋谷のTSUTAYAを探してみようと思いますが、多分一本もないでしょう。ジャック・ドゥミからロベール・ブレッソンへ。この豊かな2人を繋ぐギスラン・クロケに、今後はより注意と敬意を払っていこうと思います。

もう一本、先日は思い出せず書きませんでしたが、『スタスキー&ハッチ』という典型的なアメリカの刑事ものを鑑賞。70年代のテレヴィドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」のリメイクということで、ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンが演じているので大体想像がつきますが、まぁ取り立てて言うことも無いコメディでした。ベン・スティラーが海辺をジョギングしながらギャルに目を奪われずっこけるという、いかにもアメリカ的なギャグを堂々とやってみせるあたりに好感が持て、これには飲んでいたビールを噴出しそうになった次第。通常のアクション映画につきもののカーチェイスの締めくくりを決してヒロイックに描かず、あくまでギャグとして描ききったのも悪くなかったですね。と、思い出すうちにいろいろと言いたいことが出てきてしまうということは、まぁそれなりの作品だったのかもしれません。最後に登場する“元祖”スタスキー&ハッチには、ああ、これじゃあ『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』と同じじゃあないかといささか苦笑しましたが、この程度の映画にそこまでの完成度は端から求めていないので、特に腹を立てることもなくやり過ごしました。別段リコメンドに値する作品とは思いませんが、好きな人は好きでしょう。2人の主演俳優が好きであれば、観たほうが良いでしょう。

日曜日までTSUTAYAが半額だったので、観ないで返した作品があったにもかかわらず、性懲りも無くまた3本ほどレンタル。下記の通りです。

ベニスに恋して』(シルヴィオ・ソルディーニ)
肉体の悪魔』(マルコ・ベロッキオ)
家路』(マノエル・デ・オリヴェイラ)

若干偏りがあります。何故かヨーロッパの棚から離れられなかったのです。今週は絶対に全て観てやります。

2005年11月21日 21:18 | 映画雑記
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