2005年11月14日

『親切なクムジャさん』2回目&5本のヴィデオ

先週の劇場鑑賞は1本だけでしたが、TSUTAYAが半額だったので5本程レンタルし、ワイン片手に自宅で鑑賞した次第。劇場で鑑賞したのは、東京国際映画祭に次いで2回目となった『親切なクムジャさん』です。一般公開初日の3回目で、渋谷アミューズCQNは大体6割程度の集客。思ったほどではありませんでした。

先のエントリーでもあの時の怒りを表明したわけですが、つい先日、早朝のジムで「目覚ましテレビ」を見るともなく見ていたら、レポーターの軽部氏が、あの時撮影したヴィデオテープをイ・ヨンエの元に届けるという企画が放映されていて、テレヴィ画面には、イ・ヨンエに会えて緊張する軽部氏と、にこやかにインタビューに応じるイ・ヨンエとともに、あの馬鹿げた会場の様子が映し出され、私などは一階席の後ろの方で、しかも立ち上がらなかったからよかったものの、かなり本人確認が出来る程度の“寄り”で会場が映し出され、それぞれが“やらされている感”に満ちた表情で叫んでいたりするので、それを見たイ・ヨンエの表情もまたいささか引きつり気味だったと。あの切り替えしのやり場なさは、朝のテレヴィ番組にしては異質で、まぁ見る価値はあったな、と思います。

さて、2回目となった『親切なクムジャさん』ですが、今回はより細部に目を凝らして観る事ができたので、いくつかの発見もあったような気がしますが、詳しくはレビューのほうで。最後までパンフレットの購入を迷いましたが、800円の割りに、相変わらず公式サイトに毛が生えた程度の内容だったので、断念。何人かの批評を読んでみたかったのですが、まぁしょうがありません。

TSUTAYAでレンタルした作品は下記の通りです。

ヒート』(ポール・モリセイ)
冒険者たち』(ロベール・アンリコ)
ロシュフォールの恋人たち』(ジャック・ドゥミ)
無法の王者 ジェシー・ジェームズ』(ニコラス・レイ)
(もう一本は忘れてしまったので、確認します)

『ヒート』は、中原昌也氏をして“なしくずしの前衛芸術映画”という、多分に愛情を感じざるを得ないキャッチフレーズを与えられた、60年代以降のアンディ・ウォーホル&ポール・モリセイコンビの諸作品の一つで、ほとんど天才的なキャスティングと空虚すぎる内容によって生み出された“負の傑作”というべき作品です。私が始めて観たのは学生時代、俳優座でのリヴァイヴァル時でしたが、その後ポンポンとヴィデオ化され、以降も6回ほど観ているかもしれません。とにかく大好きな映画ですが、それはもちろん、ジョー・ダレッサンドロの存在とズームを多用した素人臭さ、そして、全くやる気の感じられないような(前衛的!)演出法にヤラレたからです。久々に観直しましたが新たな発見など皆無、相変わらずくだらない映画でしたが、観ていない人には是非お薦めしたい映画ではあります。

続く『冒険者たち』も、もう何度観たかわからないほど観ている作品ですが、何故か毎年数回は観ないと気がすまない、私にとっては大事な映画なのです。映画的には大した映画でないことはすでにわかっているのですが、それでもあの3人の表情と会話には、やはり感動を禁じ得ません。今回は『パリところどころ』でジョアンナ・シムカスに再会したことが直接のきっかけでしたが。

『ロシュフォールの恋人たち』は、言うまでも無く先日観た『ロバと王女』を受けて。加えて、ブログ友達のkeikoさんが最近フランソワーズ・ドルレアックを再評価しそうな感じだったので、それに乗じてみた次第。

『無法の王者 ジェシー・ジェームズ』は未見でした。特に理由はありませんが、全体のバランスを考えてのことです。多分好きな作品になるだろうという、直感で手にとりました。

というわけで、今週は残り3本となったヴィデオを観つつ、どこかでレイトショーに行ければいいな、と。日曜日はフィルメックスなので、有楽町ついでにヴェンダースやゴダールの2回目を狙っています。

2005年11月14日 12:54 | 映画雑記
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Title: 親切なクムジャさん
Excerpt: ●『親切なクムジャさん』(韓国・2005年7月29日公開)11月12日公開。イ・ヨンエ主演、アッと驚く結末の『オールド・ボーイ』の監督パク・チャヌク監督の最新作。『宮廷女官 チャングムの誓い』にイ・ヨンエも出てましたね。初回の音楽が頻繁に二ール・...
From: 映画鑑賞&グッズ探求記 映画チラシ
Date: 2005.11.16
Title: 「親切なクムジャさん」イ・ヨンエの代表作!
Excerpt: 「親切なクムジャさん」★★★☆ イ・ヨンエ、チェ・ミンシク主演 パク・チャヌク監督、韓国、2005年 自分の娘を守るため、 誘拐、殺人の身代わりで 13年の刑を終えた主人公。 彼女は復讐を誓った。 白く美しい顔に 真っ赤なアイシャドウを塗り、 服役中に...
From: soramove
Date: 2005.11.25
Comments

>keikoさま

バルドーも魅力的でしたが、モニカ女史にはかないませんね。若かりし私の女性観を決定付けた女性ですから。

『別離』は知りませんでしたが、ドヌーヴ主演ならやはり観たいですね。

リンクは大歓迎です。ありがとうございます。


Posted by: [M] : 2005年11月15日 20:08

こんばんは。
ヴァディムのでは「素直の悪女」というのが、よく女性を描けていて面白いと思います。原題は「かくて神女を創りたまえりけり」なのですが・・この方がずうっといいのに・・・と思いますが。バルドーが最高に魅力的です。

「スウェーデンの城」はサガンが原作ですね、モニカ・ヴィッティも好きですし、見たいところです。
サガン原作といえば、アキム兄弟が撮った「別離」という
映画(ドヌーブ主演)がよく出来ていたらしく、パリに
旅行に行った際、探して回ったのですが等々手に入らず終いで、悔しい思いをしました。

リンク、こちらでも貼らせて頂いて宜しいですか?


Posted by: Keiko : 2005年11月15日 19:39

>keikoさま

キーボード直ったんですね。
勝手にリンクはってしまいまして、すみません。よかったでしょうか。

今のドヌーブの活躍ぶりを考えると、ドルレアックの夭折が惜しいですね。
ヴァディムはあまりまともに観ていないので語れませんが、バルドーと組んでデビューしたときは、結構評価されたみたいなんですよね。どちらかというと、女性をコケティッシュに撮るのが好きだったのではないか、なんて思うのですが。
『スウェーデンの城』とか『血とバラ』なんてすごく観たいんですけどね。


Posted by: [M] : 2005年11月15日 11:26

こんにちは。本文に名前がのって照れてます笑

袋小路観ました。あくまでも女の視点で観賞した:雰囲気を味わった感じだったので内容に関する適当な言葉が湧いてこないのですが、

ドルレアック再評価という目的はきっちり果たしました。トリュフォーの「柔らかい・・」ではイマイチという感じだったのですが、この映画では彼女のパーソナリティーとルックスの魅力がそのまま出ているのだろうなと思いました。「反撥」でのドヌーブの使い方といい、ポランスキー監督は、女性をよく見ていますね・・・・ヴァディムなんかよりずうっと。

「ロシュフォール・・」は個人的にはあまりだったのですが、南仏な感じは良かったです。衣装も可愛いですし・・


Posted by: Keiko : 2005年11月15日 09:23
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