2005年10月29日

ザケンナ!

つまり、“ふざけるな!”という意味ですが。
昨日、『親切なクムジャさん』を観てきました。いやぁ、今回は端的に言って、自分がバカだったのかもしれません…その情けなさが裏返って、かような怒りに変わったわけで。

この怒りは無論、作品に向けられているのではありません。『親切なクムジャさん』については別途書くと思いますが、作品として、紛れも無いパク・チャヌク作品だったといえるでしょうし、その相対的な評価はわかりませんが、私は充分楽しめたのですから。

私が憤っている理由、それは2点あります。
一つは、監督はおろか、主演のイ・ヨンエすら来なかったことです。『親切なクムジャさん』は、後二週間も待てば、東京でも普通に公開される作品です。誰よりも早く作品評を書かねばならないとか、そういう理由が無ければ、わざわざ苦労してチケットを取る必要もないし、ましてや、そのためだけにオークションで法外な値段を支払う必要もないのです。では何故そのような行動に出たのかと言えば、それはもちろん、パク・チャヌク監督とイ・ヨンエが舞台挨拶に来るという付加価値があったからです。いや、実際のところ、二人をどうしても生で見たいと思っていたわけではなく、ただこんな機会でもなければ彼らに会うことは一生ないかもしれないし、来るなら見ておいたほうがいいな、という程度でしたが、そのような付加価値にはそれなりの対価を支払わねばならないのでしょうから、止む無くオークションで購入したのです。しかし彼らは来なかった。これはひとえに、配給会社側の不手際と断じざるを得ませんが、まぁギリギリまで交渉したのでしょうし、相手も国際的なスターですから、諦めがつかないこともありません。

しかし、その事実を何とか隠蔽せんがごとき配給会社側の行動というか提案に対し、更なる怒りがこみあげてきた次第です。それにはまったく腹に据えかねるものがあり、では一体どういうものだったかというと、イ・ヨンエを正式公開までに何とか呼べるよう、その場に居合わせた観客たちに、「イ・ヨンエさん、愛してます〜」などと韓国語で叫ばせ、その模様をヴィデオに収めると言うもので、私はあまりに頭にきたのでもちろんそんな奇行には出ませんでしたが、都合3回も起立させられ、舞台上に掲げられたイ・ヨンエの写真に向かって叫ばねばならないその他大勢の観客を、恐らくは「よしよし、いいぞいいぞ」と笑いながら見ていたであろう配給会社の連中の顔が頭に浮かんできたので、いっそのこと思い切りブーイングでもしてやろうかと大人気ない思いにとらわれたりも。韓流ブームに辛うじて乗ることで、何とかあれだけの観客を集めたにもかかわらず、私はその限りではないにしても、イ・ヨンエの来日“だけ”を心待ちにしていた多くのファンに対し、彼女のブッキングに失敗したばかりか、あのような道化めいた奇行を演じさせるなんて、それを悪質なサボタージュと言わずして何と言うのか。あの時、あの場にいた全員はほとんどバカ扱いされていたのだと、私は今でもそう思っています。

幸いにして、『親切なクムジャさん』の出来自体が何とか私の怒りを静めてくれもしましたが、やはり少なくとも、あのような特別招待作品の類には、もう参加しないことにしようと決意させるに充分でした。

2005年10月29日 13:38 | 悲喜劇的日常
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Title: あの国の人が詩を書くと・・・
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From: 知れば知るほどきらいになる国?
Date: 2005.10.29
Comments

>[R]さま

チケットは11/3から発売されます。
念のため、発売日に購入したほうがいいんじゃないでしょうかね。少なくとも、私はそうするつもりです。
ホウ・シャオシェンはオープニング作品ですしね。


Posted by: [M] : 2005年11月01日 10:51

第6回東京フィルメックス、やばいっすねぇ〜。
コンペティションは全部観てもいい気がします。
小林政広監督作品は、いち早く観たいなぁ〜。
あの快作『フリック』のあとにどうでるのか!?
カンヌのコンペにも選ばれてるみたいですね。
シャオシェンとマフマルバフは何がなんでも観たい。
チケット前売りで買った方がいいんですかね?


Posted by: [R] : 2005年10月31日 08:06

>皆様

いろいろと貴重なご意見・情報をありがとうございます。映画祭は一つのエンターテインメントの場なのかもしれませんが、何だか話題ばかりが先行し、中身はまったく空洞化の一途を辿っているような気がしてなりません。それに比べれば、日仏やアテネ、朝日ホールの特集上映の貴重さが際立ちますね。

こヴィさんのおっしゃるとおり、今はフィルメックスかもしれません。私はまだ参加したことがないのですが、先程劇場で入手してきたパンフレットによると、今年はダグラス・サークが渡米前に撮ったシチュエーションコメディ『アコード・ファイナル』や、小林政広の『バッシング』なんかも上映されるようですし、初参加してみようかと思います。

まぁTIFFについて、今年はいろいろと考えることが出来た分、良かったと言えばよかったのかもしれません。


Posted by: [M] : 2005年10月30日 17:44

TIFFは昔からそうですよね。世界でほとんど相手にされてないから。今アジアの国債映画祭といえばは釜山というのが常識になったし。(前話したかもしれないですが)何年も前のことですが、国内でいち早く上映した「ロック、ストック〜」でガイ・リッチー(まだ無名)もやはり来なく(飛行機嫌いというドタキャン)、しかし客は立ち見になるほどこの作品が見たくて入ってたのに(指定席制ではなかった)、監督来ないとなったらプレスシート2列(もちろん特等席)に誰もいず、そこ空席のまま上映しようとしたので客が怒り暴動起きそうになりました(結局座らせたが、当日券で入った人の方がいい席という矛盾)。以来行ってません! 今はフィルメックスですよ!!


Posted by: こヴィ : 2005年10月30日 13:07

それは、ほんとにザケンナですね…。
Billyさんの件も、ひどいですねぇ。
『ロスト・イン・トランスレーション』を思い出しました。馬鹿にされて当然なのか…。
「韓流ブーム」だけには関わりたくないと思ってましたが、そこまで酷いのかぁ…。
国内外問わず、全体的に舞台挨拶とかトークショーって微妙じゃないですか?
あれ、なんとかなりませんかねぇ? アテネとか日仏は割とちゃんとやるのに…。
「映画」への「接し方」の問題としか思えません。商業の成立ってのは分るけど…。
いやいやなるほど、とても参考になりました。ご報告ありがとうございます。


Posted by: [R] : 2005年10月30日 02:16

久しぶりです。
僕も、去年の東京国際映画祭に参加して少しばかり怒りを覚えたことがあります。
コンペティションに選ばれた『ウィスキー』の上映のときでしたが、監督のティーチ・インの際、通訳がまったくの無能者だったということです。
途中で訳を適当にやり始め、最前列に座っていた客に誤訳を指摘され、挙句の果てには「きっと皆さんの方がよく理解されてると思いますが」とか言う愚問としか思えない言葉を吐いていて、殴りかかろうとか思いました。
東京国際映画祭は特にですが、こういった手配と言うかサービスと言うか、仕事が成ってません。
去年も、確か『スカイ・キャプテン』のグウィネス・パルトロウとジュード・ロウが来られなかったとかいうことがありましたよね。


Posted by: Billy : 2005年10月30日 01:01
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