2005年10月17日

ヴェンダース5本

先週末は何となく劇場に行くことも無く、それは本当に“何となく”で、雨が降っていたからとか、体調が芳しくなかったからとか、観たい作品が無かったからとかいう積極的な理由があったわけではありません。実はもうすぐ移転してしまうユーロスペースに『空中庭園』を、とも思って行きかけたのですが、時間的に若干中途半端で、直近の回に行くにはギリギリ、次の回まで待つのも消耗といえば消耗だな、と思った次第。とにかくユーロスペースにギリギリで駆け込んであまりいい思いをしたことがなく、それだけは避けたかったということです。

で、こんな時こそヴェンダースをまとめて観るチャンスだ、とばかりにTSUTAYAに行き、80年代以降の作品を中心に5本をレンタル。今週は平日飲みに行かず、この5作品を土曜日までに絶対に観ることを決意。内訳は下記の通り。

まわり道』(1974)
ハメット』(1982)
ベルリン天使の詩』(1987)
夢の涯てまでも』(1991)
時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(1993)

昨日は『まわり道』のみを鑑賞しましたが、これは嘗て観たような気がしていたのに、実は観ていなかった作品で、ここにも一瞬だけリサ・クロイツァーが出ていました。70年代のヴェンダースが彼女を好んで起用していたことをあらためて確認。それどころか、『ラ・パロマ』のピーター・カーンが出演していて、ここでもダニエル・シュミットとの繋がりを発見。彼が詩を朗読する場面の疎外感は本作を覆うそれに等しく、物語は疎外と孤独と迂回を主題に、何ら結論めいたものを出そうとしません。が、やはり本作にもコカコーラが何度も登場していて、“アメリカ”への遥かな視線を感じたりも。なかなか見ごたえのある作品でした。
その他の作品については、先日の「ヴェンダース・ナイト」を受けてのセレクトですが、とりわけ『ハメット』以降のヴェンダースとアメリカとの関係をこれらの作品から考えてみたかったというわけです。すでに2本の新作の公開が予定されているので、それらを観る前に未見だったヴェンダースを全て制覇出来ればと思っております。

さて、とうとうゴダールの新作『アワー・ミュージック』が公開されたようですが、評判はどのような感じでしょうか。これからネットを徘徊してみようかと思いますが、観られた方、感想など聞かせていただければ幸いです。私も今週末くらいにいければと思います。

というわけで、「必見備忘録10月編」も若干修正しておきます。

2005年10月17日 12:57 | 映画雑記
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Comments

>yasushi様

アテネの特集上映、行けないんですよ…
やはりdvdはありませんか。でも、『666号室』までdvd化されるなら、若干の期待は出来ますね。なんせ、デビュー作ですから。気長に待ちましょう。最近は、あっ! と驚く作品がdvdになったりますからね。

>[R]様

なるほど、『この一刻』はそれほどでもなったということですね。『呪い』は観てみたいです。新たな発見こそが、映画を観ていく原動力になりますからね。
アジアにはまだまだ我々の知らない才能が埋もれているのでしょう。私がアジアを意識し始めてからまだ日が浅いのですが、今後も意識的にアジアを追って行きたいと思っています。


Posted by: [M] : 2005年10月28日 21:38

『この一刻』のジャ・ジャンクー作品を観て、
「あっ、この人、次は確実に“現代映画”を撮るだろうな…」と思った次第です。
「世界公園」を抜け出して、ほんとうに「都市」へ繰り出してゆくだろうな、という意味で。
『この一刻』、個人的に「映画」としてはちょっと拍子抜けでした。あれはオマケです。
そのせいもあって良質なオムニバス映画(『パリところどころ』)が観たくなったのです。

ボクが[M]さんにご覧になっていただきたいと感じたのは、むしろ『呪い』のほうで…
「中国では長年作られてこなかった恐怖映画に挑戦した意欲作」と紹介されてますが、
ちっともホラーではなく、いろんなジャンルを横断する正統派のエンタ作品でした。
パク・チャヌクやキム・ギドク、『美しい夜、残酷な朝』などの味わいに似ています。
でもたぶん傑作ではなく、やはり意欲作なので、次回作に期待しようと思ってますが、
なにか僕はいま、「新たな発見」をしてしまったような心持ちになっております。
物語の構造自体はとても「浅い」ので、この監督が「深く」潜り込んだらどうなることか?
今後とも「アジアの新鋭」からは目が離せそうにありませんね。


Posted by: [R] : 2005年10月27日 07:54

>[M]様
『都市の夏』はDVDはおそらく海外でも発売していないかもしれません。すぐに観るには、11月のアテネフランセのドイツ映画史縦断の企画でしか無理でしょう。

勝手な予想というか、願望ですが、現在ヴェンダースのDVD集が2セット目まで発売が決まり、そこには今まで日本ではなかなか鑑賞できなかった『666号室』などが含まれるので、このまま続けば『都市の夏』もいつかは…なんて勝手に期待しています。
『この一刻』、私も観たかったですね。


Posted by: yasushi : 2005年10月27日 01:15

>[R]様

二重コメント、『アメリカの夜』の件、共に気づいておりましたが、まぁ少なくともこのサイトのコメント欄までご覧になっている方であれば容易に気づくと思いましたので、わざわざ訂正することもなかろうと思った次第です。お気になさらず。

『呪い』『この一刻』ですが、実は後者に関してはチケットを取ろうかどうか迷ったんです。ジャ・ジャンクーが入っていたので。やはり良かったですか。残念ですが、dvd化を待つしかなさそうです。

私でも飲み会に誘われればそちらを優先すると思いますよ(笑) でも『パリところどころ』は是非観ていただきたいですね。


Posted by: [M] : 2005年10月26日 15:23

下の自分の書き込み…
『アメリカの夜』じゃないです!(笑)
正確には『アメリカの友人』です。酷いなぁ…。

新文芸座の「ゴダールナイト」を選んで、シネマロサの「ヴェンダースナイト」が観れなかった…
という文脈の中で『アメリカの夜』が出てくるのはおかしい!
『アメリカの夜』に、ユスターシュが出演してたらスゴイけど! 誤解された方、すみません…。
誰もつっこんでくれなかったので、自分でツッコミ! 二重カキコもしてるし…。
朝方にコメントするのはやっぱり危険だな…。

『リスボン物語』、青山ブックセンターに置いてあった気がするんですが…もうないかなぁ?
東京国際映画祭で、『呪い/この一刻』を鑑賞してきました。[M]さんに観てもらいたいカモ…。
そのあと、『パリところどころ』を観ようと思い、ロサのチケ売り場まで行ったら、
友人から電話! 急遽飲み会に誘われ、なくなく諦め…今夜リベンジしてきま〜す!


Posted by: [R] : 2005年10月26日 14:34

>yasushi様

『都市の夏』ってdvd出ているんでしょうか? もしあれば是非お貸しいただきたいのですが(もちろん、輸入版でもかまいません)。『リスボン物語』はヤフオクでも見当たりませんでした。場末のレンタルヴィデオ店を探すほかなさそうです。
結局先週借りた内『夢の涯てまでも』のみ観られなかったので、昨日再度レンタルし、ついでに『エンド・オブ・バイオレンス』も借りました。『アワー・ミュージック』も観られなかったので、今週の土曜日にでも『ランド・オブ・プレンティ』とハシゴします。
『アワー・ミュージック』はゴダールらしからぬ“観易さ”とのコメントが多いようですね。まぁ油断は禁物なのでそれなりに構えて臨むつもりですが。
それにしても『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』は良かった。『ハメット』を含め、私の中では今、80年代以降のヴェンダースを評価しつつあります。


Posted by: [M] : 2005年10月24日 10:59

ヴェンダースの新作も今日からですね。どうなんでしょうか?
初期8作のDVDを所持していますので、機会があればお貸し致しますよ。残念ながら『リスボン物語』は持っていませんが。

話は変わりまして、『アワーミュージック』とても面白かったですよ。初期作もさることながら、80年代以降の作品『右側に気をつけろ』『ゴダールの決別』などが好みの私にとってはとても楽しめる作品でした。
簡単に言ってしまえば、(黒沢監督なども言っていましたが、私は好きでない表現ですが)集大成的な作品です。もちろん奥深く、かといってややこしいわけではなく、彼には珍しくなんだかとても優しく心地よく観やすい作品に仕上がっているところが、好感触でした。
洋画では、『ミリオンダラー・ベイビー』『ライフ・アクアティック』に並ぶ今年必見映画ではないでしょうか。初日は前回満席だったらしいです。私も5日後くらいでしたが7割は入っていました。
ゴダールにしては久々の売り上げが見込まれているらしいですよ。

ではでは。


Posted by: yasushi : 2005年10月22日 19:16

>[R]様

コメントありがとうございます。

『まわり道』は好きです。山沿いに散歩するシーンの、あの緩やかな移動撮影。裸のナスターシャ・キンスキーを、リュディガー・フォーグラーが突発的に殴ってしまう場面の非=劇的な演出。そして移動に次ぐ移動…本作も“ロードムーヴィー三部作”の一つですが、ヴェンダース以降いろいろなロードムーヴィーを観てきて思うのは、その他のロードムーヴィーとは基本的に似ていないということです。彼がもともと実験映画を撮っていたこととも深く関係してくると思います。

『リスボン物語』は、渋谷のTSUTAYAにはありませんでした。困っております。オークションあたりを物色してみようかと思いますが、無い可能性のほうが濃厚ですね。


Posted by: [M] : 2005年10月19日 09:27

ヴェンダースの作品の中で、なぜだか僕はいちばん『まわり道』が好きなんです。
あの歩行速度がたまらないです。あの会話の数々にもやられちゃうんです。

悩んだ末に、ゴダールナイトを選んだんですが、やっぱりどうしても観たくて、
次の日に『アメリカの夜』をビデオ借りて観ちゃいました。ホント傑作ですね。
全編ムードがいいですね。そして、ユスターシュの出演にはビックリです。

『東京画』と『都市とモードとビデオノート』は大好きで何回も観てるんですが、
『夢の涯てまでも』『エンド・オブ・バイオレンス』辺りはやはり敬遠しちゃうんです。
新作2本に備えて、僕も制覇しておこうかなと思う今日この頃です。
『リスボン物語』…昔セルで買おうとしたことがあるんですが、レンタルありますかね?

近々ヴェンダースの無料公開がありますね。『ベルリン 天使の詩』がフィルムで観たいです。
場所は、日比谷のFantastic theaterです。

『アワーミュージック』が、いまいちばん楽しみにしている作品かも知れません。
個人的には、邦画『誰がために』とブルース・ウェバー写真展も気になっております。


Posted by: [R] : 2005年10月19日 06:49

ヴェンダースの作品の中で、なぜだか僕はいちばん『まわり道』が好きなんです。
あの歩行速度がたまらないです。あの会話の数々にもやられちゃうんです。

悩んだ末に、ゴダールナイトを選んだんですが、やっぱりどうしても観たくて、
次の日に『アメリカの夜』をビデオ借りて観ちゃいました。ホント傑作ですね。
全編ムードがいいですね。そして、ユスターシュの出演にはビックリです。

『東京画』と『都市とモードとビデオノート』は大好きで何回も観てるんですが、
『夢の涯てまでも』『エンド・オブ・バイオレンス』辺りはやはり敬遠しちゃうんです。
新作二本に備えて、僕も制覇しておこうかな…。
『リスボン物語』…昔セルで買おうとしたことがあるんですが、レンタルありますかね?

近々ヴェンダースの無料公開がありますね。『ベルリン 天使の詩』がフィルムで観たいです。
http://event.1242.com/~motive/moviedetail/m45.html

個人的には、邦画『誰がために』とブルース・ウェバー写真展が気になっております。


Posted by: [R] : 2005年10月19日 06:42
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