2005年07月25日
『溶岩の家』、驚きが感動に直結する映画
原題:CASA DE LAVA
上映時間:110分
監督:ペドロ・コスタ
ペドロ・コスタの映画を観て毎度思うのは、彼が創る映画には何故か既視感がないということです。過去の映画を参照させないように意識しているためか、あるいは結果的に何にも似ていないのか、それは定かではないのですが。
『溶岩の家』は、あえて言うなら『骨』に似ていないこともありません。が、やはり、これはこれでどこか違う次元に存在する映画のような気がしてならない。“違う次元”という言葉は、しかし、理解不能であることを意味しません。
では、『溶岩の家』は面白いのか、というすこぶる曖昧にして、ある種根源的とも言える問いを自らに向けてみます。その時、私は映画に対し、これまで常に“面白さ”を求めてきただろうか、いや、今現在も果たしてそうだろうかと自問せずにはいられないのです。ここで確実なのは、少なくとも私は“驚き”を求めて映画を観てきた、あるいは、観ているのだろうということでしょうか。
そして、ペドロ・コスタは、確かに私を驚かせてくれる映画作家です。
『溶岩の家』には、長い長い横移動のシークエンスショットがあります。そこに、何らかの“意味”や“思想”、あるいは“無意識”が込められているかどうかはわかりません。しかし私は、間違いなくそのシーンに“驚いた”のです。
驚きがそのまま感動に直結する映画。それが私にとっての『溶岩の家』です。
2005年07月25日 12:59 | 邦題:や行
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