2005年07月22日
『肌の隙間』、ここでは“セックス=死”という公式が成り立つ
原題:肌の隙間
上映時間:77分
監督:瀬々敬久
本作がデビュー作となる新人・小谷健仁扮する秀則が、田んぼで捕まえた魚の頭めがけて石を振り下ろすシーンがあります。4発も5発も殴られていくうち、魚の頭は変形し、血と肉のミンチと化していく。このシーンは、その一連の動作がワンショットで撮られていることと、何ら“劇的”な意味を与えられていないかのごとく、“ただそこにある”動作として放り投げられている気がして、戦慄しました。
魚の使い方はキム・ギドクの『コースト・ガード』に似ているな、とも。弱者としての魚……。
それほど多くのピンク映画を観ているわけでもないので、何の信憑性も無い全く個人的な印象に過ぎないのですが、ピンク映画におけるセックスシーンは、総じて悲しい。間違っても、昂奮とは結びつきません。“性”というよりむしろ“生”を感じるし、だからこそ、そこには“死”の匂いがこびりついているのです。
興味深かったのは、セックスシーンにおける、画面手前の草や木々の存在です。嘗て観たロマンポルノ的な、行為を隠す存在としてのオブジェとは何かが違った印象を持ちましたが、それについては、再見することでもう一度考えてみたいと思います。
2005年07月22日 12:59 | 邦題:は行
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