2005年06月16日

『ピンクリボン』、ピンク映画と私

原題:ピンクリボン
上映時間:118分
監督:藤井謙二郎

中学生だったか高校生の頃、ある映画狂の友人がいました。
その友人は、既にかなりの本数のアダルトヴィデオは観ているけれど未だピンク映画など観たこともない私に、やれ若松孝二がどうだとか、曾根中生は必見だとか熱く語ってくれたものです。そして彼はピンク四天王を知らなければ今後映画を好きなんて言わせないぞ、とでも言いたげに「ピンクヌーヴェルヴァーグ」(ワイズ出版)という書籍を貸してくれたのですが……

正直言って目から鱗でした。私の中で、ピンク映画と大文字の「映画」とが完全一致したのです。しかしその当時、地理的かつ金銭的な制限から、ピンク映画をそう簡単には観られませんでした。そして、その書籍を読んでから数年後、遂に神代辰巳を“発見”するに至るのです。若松孝二も黒沢清も、その延長上にあったように思います。そこには笑ってしまうくらいの“自由”があって、それは初めてゴダールを体験した時の感覚に近かったかもしれません。

そんな強烈な体験をしたものの、しかし、今それなりに映画を観ているにもかかわらず、ピンク映画を観る機会がほとんどありません。いつだって後追いで“発見”しているという歯痒さはなかなか消えないのです。そして私と似たような体験をしている人は、結構いるのではないか、と思っています。

『ピンクリボン』は、そんな人達に深く刺さるでしょう。
映画とは、図々しいくらい強靭な人間でなければ創れない代物です。そしてピンク映画とは、その“強靭さ”とほとんど同義なのですから。

2005年06月16日 00:05 | 邦題:は行
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