2005年06月08日

『ウィスキー』との僥倖

原題:WHISKY
上映時間:94分
監督:フアン・パブロ・レベージャ

映画には、その表情、いや、顔そのもので画面を漲らせることが出来る俳優がいます。
恐らく、曖昧にしか気付いていなかったこの事実を、この『ウィスキー』に出演していた3人の俳優がはっきりと証明しました。

繰り返すことから生まれる笑い、観客との一定の距離、「ウイスキー」というの言葉……それがいくら“映画の辺境の地”から漏れ聞こえたかすかな声でも、聞き漏らしてはなりません。

ジャームッシュやカウリスマキの系譜だろうがそうでなかろうが、2人の監督は最低限の演技とアクションが作品をいかに輝かせるかを知っています。モンテビデオのシネマテークがそれを教えたということが、彼ら二人の正当性を控えめながら雄弁に物語っているのではないでしょうか。

本作のラストシーンの物悲しさを観て、そのあまりの“ラストシーンぶり”に溜息が漏れました。出会えたこと自体が幸福であるという体験。映画を観続ける上で、このような体験は励みになります。

2005年06月08日 00:05 | 邦題:あ行
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