2005年04月18日

満足の6本(ソダーバーグを除く)

先週末は2日間で6本の映画を鑑賞しました。内2本はヴィデオでの鑑賞でしたが、ここ最近のペースを考えればかなり充実した週末だったと。たかだか6本観ただけで、ほとんど無条件にいい週末になってしまうのですから、我ながらその単細胞さを自覚してしまいますが。

すでに土曜日の記事にも書きましたが、16日は『コースト・ガード』、『フライト・オブ・フェニックス』、そして帰宅後『飛べ!フェニックス』を。17日は『愛の神、エロス』、『コンスタンティン』、そして帰宅後『インファナル・アフェアII 無間序曲』を鑑賞。それぞれに何点か言いたいことはあるのですが、中でも異質なものとして私の目に映ったのが『愛の神、エロス』のなかの一篇「ペンローズの悩み」で、あまりの退屈さにそのほとんどを居眠りしてしまうほど。なんとなくではありますが、かねがね私とソダーバーグは合わないのではないかと思っていたので、『オーシャンズ12』も予め避けたくらいでしたが、ここに来てその思いは固まりました。やはり、私はソダーバーグに魅力を感じない、と。それでも『愛の神、エロス』の他ニ篇に関しては概ね満足出来たので、2:1で70点くらいの評価でしょうか。まぁこの点数にいかなる信憑性もありませんが。

ところで、4月10日付観客動員(興行通信社調べ 2005年4月9日・4月10日)によれば、『フライト・オブ・フェニックス』は公開一週目で9位に位置づけているのですが、私が観た新宿東亜興行チェーン(新宿グランドオデヲン?)の客入りはほとんど惨憺たるもので、『フライト・オブ・フェニックス』はあのように大きな劇場での公開こそ相応しいとは言うものの、ガラガラの客席にまばらな中年男性ばかりが目立ち、今どき入れ替え制をとらない昔ながらの興行形態なので、前の回からずうっと眠りっぱなしのスーツ姿の男性サラリーマンを横目に観なければならないのは何とも不健康だし、この不幸な『フライト・オブ・フェニックス』が本当に第9位だという数字が全く信じられず、きっと今週水曜日に更新される段階になれば、もともとそんなもの存在しなかったかのようにベスト10からは消滅してしまうんだろうな、と。それほど大した出来ではないこのリメイク映画ですが、しかし、ロバート・アルドリッチの息子であるウィリアム・アルドリッチが制作しているからという理由だけで何とかそこに美点を見つけようとしている私は、細かい欠点を挙げればいくらでも挙げられそうな『フライト・オブ・フェニックス』を貶す気には到底なれないのです。このあまりにも悲しい状況に直面してしまうと、いまや“反スティーブン・ソダーバーグ”を標榜している私にしてみれば、一度も観てはいませんが、『オーシャンズ12』などよりも『フライト・オブ・フェニックス』の方がよっぽど貴重な映画だと故の無い断言をしたくもなります。アメリカ映画を愛する皆様、『飛べ!フェニックス』よりは劣るものの、『フライト・オブ・フェニックス』のように面白く貴重な映画をどうかお見逃しなきよう。

『コンスタンティン』に関しては、実は『マトリックス』以上の荒唐無稽さを期待していた部分もありましたが、意外にも普通に観られてしまうあたり、こちらの期待が大きすぎたということでしょうか。ただし、これまでその存在は多少気になっていたものの、その出演作から考えても、実は好きな女優だと言うことを隠していたレイチェル・ワイズを、今後は大っぴらに「好きだ!」と言う事にしようと決意させてくれた点には感謝しなければなりません。キアヌ・リーブスとのラブシーンが1シーンもなかったことは、個人的にかなり評価できます。もしラストにキスシーンなどあろうものなら、腹に据えかねる作品に堕していただろうと思います。もちろん、それはあくまで映画的な話で、レイチェル・ワイズへの偏愛とは何の関係もありません。

最後に『インファナル・アフェアII 無間序曲』ですが、人が死ぬ瞬間に訪れる一瞬の静けさは、もしかすると『ゴッド・ファーザー』よりも上手いかもしれない、と。とりあえず今週末に『インファナル・アフェアIII 終極無間』は必見です。蛇足ですが、エリック・ツァンは私が子供の時に観た『大福星』の時から声の高さが全く変わっておらず、にもかかわらずマフィアのボスとしての鋭い表情にはそれなりに凄みがあって、彼はいいなぁ、とひたすら思い続けました。

2005年04月18日 12:00 | 映画雑記
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Comments

>puffさま

こんにちは。

『愛の神、エロス』ご覧になられたようで。
イタリア好きな私の中としては、やはりアントニオーニを支持したい気持ちです。何よりあのルイザ・ラニエリの完璧な美に目がくらむ思いでした。トスカーナのロケーション(あの塔がまた素晴らしい!)もかなり好みでしたね。もちろん、ウォン・カーウァイはいつも通り手堅い作品で、まったく悪くなかったですが。まぁソダーバーグについては観ていないも同然でしたので、コメントは控えます。

『フライト・オブ・フェニックス』は是非!
無理してでも行ってください(笑)
ちなみに、本日13:30〜15:30にテレビ東京で『飛べ!フェニックス』が放送されますね。って、もうすぐ始まっちゃうなぁ……こちらも必見です!


Posted by: [M] : 2005年04月21日 12:31

[M]さん、こんばんは

先日、私も「愛の神、エロス」を観て来ました!
自分的には、ウォン・カーウァイの「若き仕立屋の恋」がダントツに
良かったのですが、[M]さんはどうでしたでしょうか!?
ソダーバーグの「ペンローズの悩み」は私も・・・でしたです。涙
確かに冒頭でチラリと裸は出て来ましたが、
作品全体からは特に「エロス」を感じさせませんでしたよね。
話のオチも今ひとつピンと来るものが無かったし、、でした。

ところで、「フライト・オブ・フェニックス」良かったでしたか!!
「飛べ!フェニックス」を冒頭部分だけ観て後は
未見になっていたのでずっと気になっていました。
(=面白そうだったけど、運転中のカーナビだったので断念)
ちょいと無理してでも観に行く価値ありそうですね。


Posted by: Puff : 2005年04月21日 00:47

>ローズさま

こんばんは。コメントどうもです。

『スターリングラード』、未見なんですが、そのシーンは観てみたいですね。さて、どうしよう・・・

「甜蜜蜜」は「ラブソング」ですか。こちらも未見で…でも彼は本当にいいですね。「II」での彼は、ほとんど主役みたいでした。


Posted by: [M] : 2005年04月18日 20:08

[M]さん、こんばんは。
レイチェル・ワイズ、私も好きです。
ラブシーンがなくても魅せる女優だし
『スターリングラード』ではジュード・ロウとの
大胆な濡れ場に心臓がドックンドックンしてしまいました。

>人が死ぬ瞬間に訪れる一瞬の静けさは、もしかすると>『ゴッド・ファーザー』よりも上手いかもしれない、と。

ですよね〜。お国が変わると死生観も違うから
表現も違うものだなあとしみじみ感じ入りました。

>鋭い表情にはそれなりに凄みがあって、
>彼はいいなぁ、とひたすら思い続けました。

どの映画もエリック・ツァンはすばらしい!!
些細なしぐさが小粋でセクシーなんですよね。
「甜蜜蜜」でマギーがエリック・ツァンに
ついていく気持ちがとってもとっても分かるのですよ。


Posted by: ローズ : 2005年04月18日 19:43

>雄さま

コメントありがとうございます。
確かに『トラフィック』は一般的に観れば悪い出来ではありませんでしたし、『イギリスから来た男』などはテレンス・スタンプとジョー・ダレッサンドロを担ぎ出しただけで当時は賞賛に値するとも思っていました。が、気に入らないのは彼が今、すんなりと収まっているであろうそのポジションです。全く大した映画作家ではないと思うのですが、インディーズとハリウッドメジャーを巧妙に行き来し、その身軽さを武器に内輪受けの映画を撮り、そのような振る舞い自体が、ともすれば現代的スタイルだと思われてしまうようなポジションとでもいいましょうか。現に彼は日本国内で、かなり受容されていますよね。この思いは今に始まった事ではないのですが、今回『愛の神、エロス』の中の一篇を観て、遂に顕在化したといった感じです。もちろん、だからと言ってソダーバーグを好む人を否定するつもりは毛頭ありません。あくまで好みの問題、と言ってしまえばそれまでですけどね。

『フライト・オブ・フェニックス』は是非是非ご覧下さい。ご感想もお聞かせいただければ幸いです。


Posted by: [M] : 2005年04月18日 18:59

私は必ずしも反ソダーバーグではありませんが(『トラフィック』など数本はいいのがある、と)、『オーシャンズ12』は見なくて正解です。今年のワースト1でしょう。

一方、アルドリッチ・フリークとしては、『フライト・オブ・フェニックス』を見るかどうか迷っていたのですが、[M]さんのコメントで見る気になりました。


Posted by: : 2005年04月18日 18:23
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