2004年11月30日

今、ロバート・アルドリッチに思いを馳せてみる

ロバート・アルドリッチ週末の劇場通いが完全に(!)定着してから、ということは当サイトがオープンしてからというもの、以前に比べ、毎週数本のヴィデオをセレクトし、私より上の世代、または、決してそうとは限りませんが所謂シネフィルと言われる人たちよりはるかに遅れながらも、旧作を発見していく喜びと感動の絶対数が、目に見えて減ってきているのは否めません。
もちろん、劇場で観た作品評を核に据えるというこのblogのテーマからすれば、それもまた当然の成り行きといいましょうか、毎週のように新作は公開されていきますし、それを観た上でさらにある程度の分量を持った文章を綴るとなると、私のような遅筆にとってはそれなりの時間を要してしまう、よってなかなか旧作にまで手が回らない、と。

ただし、劇場で観た映画全てに対し文章を綴るつもりはありませんし、それはヴィデオやdvdにしてもしかりです。これは駄目だ、と思った映画について積極的に悪口のみを書く趣味は持ち合わせていないので、例えば先日観た庵野秀明監督の『キューティーハニー』にはこちらの淡い期待に反してあまりに途方に暮れてしまい、仮に文章を捏造しても欠点の指摘ばかりになってしまいそうだったので止めておいたし、逆に言えば、新作だろうと旧作だろうと、何らかの感動を齎してくれた作品については、積極的に評を書きたいということです。

しかしながらここで冒頭の話に立ち返れば、やはり旧作を観る頻度がどんどん落ちてきているので、どちらかというと、ヴィデオやdvdで自身の映画史的パースペクティヴを構築してきた身として、この事態は非常にまずい、と言わねばならないでしょう。これは何とかしなければいけない、ドラクエ8などに現を抜かしている場合ではないな、と思っていた折も折、ハリウッドで我が敬愛する映画監督ロバート・アルドリッチの『ロンゲスト・ヤード』がリメイクされるという事件を目にして吃驚。つい先日も、やはりアルドリッチが監督した『飛べ!フェニックス』のリメイクが進行中というニュースに驚きと不安感じたばかりでしたので。ハリウッドも本当にネタが尽きつつあるんですね。
さて、こうなってくると、ではリメイクという問題について考えてみたい気がするのですが、そうはいっても私自身、まだ確固とした考えを持つにいたっていないというのが正直なところ、セルフリメイクとなれば話は別かもしれませんが、一つだけ確かなことは、監督が変われば映画は別物だということです。だからといって、全てのリメイク作品を、それこそ“墓を荒らすな!”的に断罪するつもりなどさらさら無く、出来ればアルドリッチの10分の1でも面白ければいいと控えめに期待するくらいの寛容さは持っているつもりです。
私の中でロバート・アルドリッチという映画作家の存在はことのほか大きく、ほとんど“巨人”と形容できるほどの圧倒的な存在感を放ち続けているのですが、それは、もうかなり昔になりますが、『ロンゲスト・ヤード』を観た時の衝撃が未だ生々しく甦ってくるからであり、50年代という不遇の時代から映画を撮り始めたアルドリッチの強さは、それが西部劇であろうと、オカルト的ミステリーであろうと、警察モノだろうと、スポーツモノだろうと一向に揺るぎなく、もちろん時代と共に古びていく宿命などとは無縁の、常に“やたら面白い”作品群として、永遠に記憶されるべき存在なのです。

このところ見直すことが無かったアルドリッチですが、アメリカでこのようなリメイクが相次いでいる今こそ、改めて見直さねばと思っているところです。
どこか気の利いた小屋で、レトロスペクティヴでもやらないでしょうか…

2004年11月30日 13:07 | 映画雑記
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