2004年11月11日

ある日の会話〜『血と骨』を巡って

先週『血と骨』を観たよ。日曜日だけどそれほど混んではいなかったなぁ。

----あ、ホント? で、面白かったの?

う〜ん、原作と映画を比べることは無意味だと思ってはいるんだけどさ。あれを読んだのは6年くらい前かな。後輩に薦められて一気に読んじゃったんだよ。

----つまり映画はいまいちだったっつうことか。 原作はそんなに凄いの? 映画のほうも武主演でかなり凄いらしいじゃん。

いや、俳優陣はなかなかのもんだったよ。これは誰もが思うことだろうけど、濱田マリには驚いたね。彼女の裸体を見るとは思ってもいなかったから。それは満足。オダギリ・ジョーも悪くない。柏原弟は、最近大分ノッてきてるしさ。鈴木京香の評価は分かれるところだと思うけど、彼女は流石に脱がなかったからなぁ…

----脱げばいいのかよ(笑)

いやそうじゃなくてさ。この映画は“濡れ場”というか、まぁほとんどはレイプに近いんだけど、そういうシーンが結構重要だと思うんだよ。絶対に綺麗なセックスじゃなくて、もう暴力の変奏としてのセックスみたいなね。武はまぁその辺の勘所は心得てたと思うんだけど、鈴木京香の服が脱がされないっていうのはどうなんだろう。とはいっても、実際には無理やり胸を揉まれたり、結構足を広げたりしてるんだけどね。なんていうか、比べるのもおかしいけど、せめて『モンスター』のシャリーズ・セロンくらい体張って欲しかったというのが正直なところだな。彼女だって全部見せてたわけじゃないんだからさ。何年も英姫役が演じられるのを待ち望んでたっていうなら、せめてね。『告発の行方』だって、やっぱりあのシーンでしょ?

----まぁ言わんとしてることはわかるけど。長いの?

2時間24分だったかな。決して退屈するほどだれることは無いけど、ちょっと長かったかな……あの壮大な物語を通常の上映時間に収めること自体無理な話だし、特に破綻している部分もなくあそこまで纏めたのは崔監督の力量だとは思うけど。単にこちらが観たかった描写が少なかっただけなのかも。

----崔監督の他の作品と比べるとどうなのかね。何か観た事ある?

実は無いんだよ。彼にはテアトル新宿で会ったことがあるんだけど。お前一緒じゃなかったっけ?

----いや、俺じゃないな、それは。何してたの?

何を観たときだったっけなぁ…ちょっと思い出せないけど、その時崔監督は、多分後に公開される次回作の前売りを自ら販売してたような…観客と気さくに話してたよ。後は、毎朝観てる「やじうま」のゲストコメンテーターとして毎週観てたくらい。映画のほうは、俳優として『御法度』を観たくらいで、監督作は一本も。だから比べられないし、作風もわからないなぁ。まぁそれもあまり関係ないっちゃ無いと思うけど。

----ふ〜ん。どこか観るべきシーンはなかったの、『血と骨』に。

主人公の金俊平って男は、とにかく凄い狂暴な絶対君主なんだけどさ、その多くは理不尽な暴力とセックスとして描かれるんだよね。彼自身にしか通用しない道理に従って行動するから、周りの人間をどんどん傷つける。もちろん死人も出るわけだけど、なんだろう、もっと執拗に彼の理不尽さを観たかったなぁ。美術セットとか陰惨さ漂う音楽は良かったんだけど、もう一つ物足りなかった感があるね。オダギリジョーとの喧嘩するシーンには、もっと途轍もない暴力が炸裂すると思ってたし、新井浩文との喧嘩もまたしかり。ただ、武の肉体には観るべきものがあったよ。醜悪な肉体美とでもいうかね。それと凄く良かったシーンがあって、ラスト近く、もう死ぬ間際の武が、質素な掘っ立て小屋のベッドで寝ててね、外は雪が降ってて、それがだんだんと吹雪になっていくんだけど、その吹雪のゴォー…という音が、そのまま次の回想シーンに重なる部分は素晴らしかった。上手い! と思ったなぁ。北朝鮮の吹雪と幼年時代に初めて大阪に到着しようとする船のイメージが上手く重なってね。

----なるほどね。武は好きだから、観てみよっかなぁ…まだ始まったばかりだし。

しかし、この映画の作品評は難しいなぁ…どうしよう……観なかったことにするのもあれだし…ものすごく駄目な映画っていうわけじゃないし、手放しで賞賛できるわけじゃないから。とりあえず、今お前と話してることをそのまま載せよっ。

【関連ページ】
『血と骨』に関して追記

2004年11月11日 12:58 | 邦題:た行
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Title: 血と骨
Excerpt: KAZZのこの映画の評価  先週、ビートたけし主演の”血と骨”を見てきました たけし主演のポルノ映画?非常に長く感じました。 まるで、上映時間が、3時間以上あったかのように。。。 黒いぼかしが。。。あれって。。。 どうして、あのような昔のポルノ映画みたい...
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Date: 2004.11.25
Title: 『血と骨』
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From: 京の昼寝〜♪
Date: 2005.01.19
Title: 血と骨
Excerpt: 崔 洋一監督、ビートたけし主演、の映画でした。 今回のビートたけしは監督業はせず、役者に専念するとの事でしたが、物凄い迫力の映画でした。見ていて鬼気迫る物があるなあと思います。演出もたけしは口出しせず、ひたすら役者業に専念。その為か余計にその迫力は増し...
From: FOR BRILLIANT FUTURE
Date: 2005.01.28
Comments

>shimaさん

doumoです。
まぁ、『オールド・ボーイ』と比べるのはやや酷かと存じます。俳優としての北野武を私は結構好きなのですが、チェ・ミンシクの激しさは『血と骨』の武をもあっさりと凌駕していたように思います。
ぼかしに関しては、もはや何も言いますまい…個人的には、モザイクのほうが1000倍ましかと。でもフィルムでは無理なのでしょうか……
技ありシーン、ご賛同ありがとうございます。


Posted by: [M] : 2004年12月09日 12:38

昨日やっと観てきました。
もっと圧倒的な暴力さ加減なのかと思ってましたが「オールド・ボーイ」を観たあとのせいか、
嫌悪感が湧くほどの説得力はなかったような気がします。
私は豚をさばくシーンで「美味しそう・・・」と思ってしまいました(苦笑)
内蔵のつやつやしたピンク色とか。
で、気になったのが黒いぼかし・・・。
あんまり堂々と邪魔をしているのであきれてしまいました。
何の必要性があるのか全く理解できませんし、
邪魔くさいなぁ、とかえって気が散ってしまいました。
[M]さんも書いている最後の吹雪から海へのシーンは、
私も「あぁ!」となりました。技有り!って感じでしたね(笑)


Posted by: shima : 2004年12月09日 02:55

Mさんこんばんは〜
日記に書き込みありがとうございました。
昨日「血と骨」「2046」観たもので!
レビュー、面白い趣向ですね!
まあオダギリ・ジョーが好きな私としては、大満足。
特に女優陣がよかったです。で、濱田マリ
ホント頑張りましたね。中村優子、今後観てみたい
女優さんになりました。


Posted by: ワカ : 2004年11月21日 00:16

>こヴィ殿

そのメイキングは見逃したので何とも言い難いのですが、あえて言えば、メイキングもテレヴィ用に面白く編集されたものですから。
ただ、昨日書いたあの文章(遣り取り)は、流石に舌足らずな感じがするので、もう少しだけ加筆しようかと思っているところです。先ずはご覧になってください。

>イカ監督殿

『血と骨』で武が好んで食する肉がものすごく気持ち悪く描かれているんですが、私は上映中かなりお腹が空いていたので、すごく韓国料理が食べたくなりましたよ。
崔監督の“抜け感”は、予告編だけでもなんとなくわかりました。『血と骨』は大作ですし、原作が原作ですから、重厚な印象は否めないでしょう。
それより、監督は自作に専念してくださいyo!


Posted by: [M] : 2004年11月12日 08:58

あ、僕もその番組見た!
ちなみに濱田マリと浅草キッドがいた焼肉屋、うちのすぐそばで、超美味い名店です。
どーでもいいですね(笑)
僕は『犬、走る』以降の抜けた感のある崔作品が好きです。
『犬、走る』『刑務所の中』『豚の報い』は重さと軽さの奇妙な同居が心地良かったです。
しかし、この監督は『マークスの山』という大失敗作(と僕は思ってる。でも凄い力作)があって、その後抜けが良くなるので、
まだ見てませんが『血と骨』はそういう過渡期作品なのかも。
なんにしろ、観に行けそうにありません(涙)
 


Posted by: イカ監督 : 2004年11月12日 00:33


こないだ深夜TVでメイキング(浅草キッド&濱田マリ進行)を見ました。
すごく興味湧きました。
で[M]さんの読むと、ああ、また違うんだなーと。
これは自分で確かめるしかないか。
でも今月は映画全然見れてないんです。


Posted by: こヴィ : 2004年11月11日 23:00
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