2004年10月01日

熱意と勇気〜近刊の書籍・雑誌と映画パンフについて

90年代のドローイング本日は、映画から少しだけ離れて、最近購入した書籍・雑誌に関して。
書籍も雑誌も、日々読んでいない時が無いくらいで、サイトを始めた当初は、それらについても言及したかったのですが、映画ばかり観ていてなかなか触れることができなかったというのが実情。仕事柄、数年前は毎日様々な書店を訪れたものですが、最近は専ら阪急ブックファースト渋谷店にしか行かなくなってしまいました。よって、下記に挙げたものも全部そちらで購入しました。

書籍と言えば、最近の映画のパンフレットは、どれも公式WEBサイトの内容と変わりませんね。いくつかの批評がプラスされていればまだいいほうで、全く同じ内容のものも。只で見られるものに金を払うのが馬鹿馬鹿しくなってきた今日この頃です。一時、シネセゾン辺りでセルジュ・ゲンズブールのリバイバルが盛んだった頃、パンフレットにも相当金がかかっていたことを思うと、結局はその作品に“狂った”であろう人々の手によって作られたもので無い限り、もはや購入するには値しないと言うことなのでしょうか。一部の劇場を除けば、そもそもパンフレットにフォーマットなど無いのですから、それはつまり、デザインにも内容にも、“熱意”の程が端的かつ残酷に表れてしまうものなのだということです。

以下に挙げた書籍・雑誌には、作り手の“熱意”が込められていることが読者にもダイレクトに伝わると言う意味で、購入・保存するに値する商品であるのは言うまでもありません。

『映画への不実なる誘い−国籍・演出・歴史』(蓮實重彦 著 エヌティティ出版)
『映画狂人最後に笑う』(蓮實重彦 著 河出書房新社)
『中条省平は二度死ぬ!』(中条省平 著 清流出版)
『映画芸術 2004 SUMMER 408』
『STUDIO VOICE 2004 OCTOBER VOL.346』

一点だけ映画とは関係の無い雑誌が含まれていますが、ここではその『STUDIO VOICE』に関して一言二言。
嘗ては定期購読していた時期もあったこの“MULTI-MEDIA MIX MAGAGINE”ですが、購入したのは7ヶ月ぶりになります。所謂ワンテーママガジンには、どうしてもその都度読者を選ばざるを得ないという欠点(?)があり、興味の幅がどんどん縮小されている現在の私には、もはや毎月購入することなどとても出来ないのです。にもかかわらず今回購入したのは、“ケイト・モスとは誰か?”という人を食ったような特集タイトルに惹かれたからです。
かれこれ7〜8年ほど前でしょうか、私がケイト・モスに最大限の賛辞を送り続けていたのは。写真集を買い、広告を切り抜き、何枚も絵を描き、彼女がミューズだったブランドの香水をつけ……けれど彼女は、決して懐かしさの対象となったりはしていません。未だ現在形で活躍を続けているのです。時代が彼女を求めるのは何故か? 『STUDIO VOICE 2004 OCTOBER VOL.346』はそんなことを考えさせてくれました。
公式サイトが休止してからかなりの月日が流れているinfasですが、今あえてケイト・モスを特集として取り上げる“勇気”には、やはり頭が下がる思いです。

2004年10月01日 13:00 | 映画雑記
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/80
Trackback
Comments

>sth

おっと、これはかなり痛いね…そうくるとは…
これぞ不意打ちというやつでしょうか。そういう冊子は、すぐに処分したほうが身のためだと思いますが。
そんなことはいいから、早く引越ししなさい。


Posted by: [M] : 2004年10月01日 22:53

『STUDIO VOICE』と聞くと「社内報」を思い出さずにはいられない・・・。
引越し作業中にでてきましたよ。
みんなの初々しさに目がくらみ、すぐに箱に戻しましたとさ。


Posted by: sth : 2004年10月01日 19:31

>INT.さま

こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、最近は型どおりのものが多くてつまらないですね。“観た証”として私も買っていましたが、私の場合、ある作品を観れば必ずこのwebで触れるので、それをもって“観た証”にしてしまってもいいかな、などと考えています。
そうなってくると、後は出来次第ということになりますが、『ANNA』や『スローガン』などは確かに凝っていましたね。『ワンダーウォール』なんかも。あそこまでデザインに凝れとは言いませんし、ある程度は目を瞑ったとしても、HPの内容と変わらないような杜撰なパンフだったら、始めから無いほうがまし、という結論に至ります。


Posted by: [M] : 2004年10月01日 15:44

こちらでは初めまして、INT.です。

私の場合、パンフレットは「その映画を観た証」として
必ず1冊買うようにしてるんですが、全国公開映画のパンフは
軒並みチャチなものばかりで正直嫌いだったりします。

逆に凝ったパンフレット、と言う点で意識した事は無いんですが
『ANNA』(アンナ・カリーナのアレです)のパンフレットは
60年代モノのお洒落映画、と言う事で非常にハイセンスな
デザインのパンフでした(笑

後は……恵比寿ガーデンシネマの映画パンフは軒並み凝ってましたね。
少女向けの手帳のような作りをしていたエイドリアン・ライン版『ロリータ』とか、
文庫サイズでまとめたポール・オースターの『ルル・オン・ザ・ブリッジ』とか。


Posted by: INT. : 2004年10月01日 15:10
Post a comment









Remember personal info?