2004年08月24日

『ある日、突然』両足が…

ある日、突然仕事を終え渋谷に着いたまでは良かったのですが、ああ、今日の晩飯もいつもと同じかな…とうんざりしながら109前のY字路に差し掛かったとき、こちらの意思に反して足がbunkamura方面に進みだして、稀にそちらから帰宅することが無いとはいいませんが、どうやら今日は無意識的に映画を欲していたようで、両足の赴くままにシネ・アミューズへ。整理券番号は7番、「今日の数字は悪くない」などと思いつつ、30分ほど時間をつぶして『ある日、突然』を鑑賞してきました。

入りはざっと見積もって15人といったところでしょうか。隣で上映している『誰も知らない』は、月曜日のレイトにもかかわらず100人近くの入りだったようで。『ある日、突然』だって2年前のロカルノで銀豹賞(準グランプリ)と特別賞をダブル受賞しているにもかかわらず、この差。今日の光景を見るにつけ、先日『誰も知らない』の初日に感じた、あのマスコミによる過熱報道が結果的に齎した大入りの奇妙な“場違い感”を改めて確信するに到りました。あまりの客入りに、9月4日からシネ・アミューズは両方で『誰も知らない』を上映するらしいです。まぁ、この事実は祝福すべきことではありますが。

そんなことはともかくとして『ある日、突然』ですが、何より好感が持てたのはその上映時間で、93分という“やや短め感”がしっくりくる佳作でした。もう少し観ていたいと思わせる作品は、“絶対に”面白い作品だからです。言い換えれば、物語の終わりを示す記号は随所にちりばめられているにもかかわらず、その事実から目をそらしたい衝動に駆られる作品と言いますか。先日の『アデュー・フィリピーヌ』といい、本作といい、たまたま処女作を連続して観る事になりましたが、『ある日、突然』を撮ったまだ若いディエゴ・レルマン監督も処女作にモノクロを選んだあたり、少なからぬ“野心”を感じてしまいました。あえてリスクを負ってでも作品を輝かせることを望む姿勢。だからといって、よく言われているように、ヴェンダースやジャームッシュを引き合いに出すのもどうかと思います。まさかモノクロでロードムーヴィーという理由だけでそう判断されているわけでは無いですよね? 実際、『さすらい』と『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は共に傑作だとは言え、それほど似ていないと思うのですが。そして、それら2作品と本作についてもまた然り。前者にあったいい意味での“弛緩”が、『ある日、突然』には感じられなかったのです。どちらかと言うと“鋭い”カット割りでしたし。まぁ、この比較にどれほどの意味があるとも思えないので、この辺でやめておきます。とか言っておきながら今思い出したのですが、これら3作品に共通する要素もあって、それは俳優陣の素晴らしさかと。本作でいえば、とりわけマルシアを演じるタチアナ・サフィルと、ブランカを演じるベアトリス・ティボーディンの演出には目を見張るものがありました。彼女たちの演技は、まさにその一瞬一瞬のアクションによって成り立っているという点で美しかったと思います。

はっきりと断言できるのは、この監督の次回作も必見だろうということですかね。

2004年08月24日 00:56 | 邦題:あ行
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Comments

>kyo様

足跡残していただき、恐縮です。
赤ボタンは特に大切にしたくもありませんが、痛くないだけましだと言うべきでしょう。
例の件ですが、私に主導権などありませんからそちらの意向に従います。でも、少しだけ涙が出ました…

映画を見た際でも、また書き込んでください。私の日記に対する鋭すぎるツッコミでもケーオツです。


Posted by: [M] : 2004年08月24日 12:25

M様

M相変わらずだね〜。N氏とのコンビも最強。拍手ものです。仲間といえることに感動を覚えるくらいです。
これからもMのノリを大切にしていってください。赤ボタンも。Jが帰京する際はぜひぜひまた集いましょう。あっ遊びいくんだった。
ところで、Mが待ち焦がれている?例の件ですが、先方多忙につき少々時間がほしいとのこと。待てますか?

日記読むのが日課になりそう…。

K


Posted by: kyo : 2004年08月24日 11:32
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