2004年08月15日

『誰も知らない』は誰もが知っているのか?

誰も知らない昨日は予定通り、“青”を求めて千葉の海まで行ってきました。快晴の青空に恵まれたものの、海の色は“青”とは言いがたく、それでも湘南などと比べると遥かに透明度の高い海だったような気がします。午前中より何をするでもなくただただ太陽の光を浴び、ビールをガブ飲みしつつ、うとうとしてみたり。気がつけばワインは2本ほど空いていて、体は真っ赤になっていました。実は今こうして日記を書いているこの瞬間にも、水着部分を除いた全身の“火傷”は甚だしく痛み、立つのも座るのも寝るのも儘ならない状態なのです。いい年して情けない限りですが、まぁ、たった一日でも“青”に同化出来たのですから、しょうがないですね。

そんなこんなで昨日の夜は大して眠れなかったにもかかわらず、本日は『誰も知らない』の初回をシネ・アミューズにて。10:00からですし、雨も降っていたので流石にそれほど混雑していないだろうというこちらの“甘さ”をあざ笑うがごとく、9:30過ぎに劇場に到着したときにはすでに立ち見直前の大混雑状態。整理券番号120番なんて初めてです。受付の女性は次の回を盛んに薦めていましたが、また時間をつぶすのも面倒だったので予定通り初回を鑑賞してきました。夏休み中でしかも日曜日という悪条件もあるのでしょうが、ロビーを見渡すと、年配層と若年層が目立ち、それを見ただけで『誰も知らない』の興行的成功を確信したのですが、それは主演している彼がカンヌで主演男優賞を獲ったからというよりは、飽くまでマスコミ報道の加熱振りによるのだと思います。実際、いくら世界で一番有名な映画祭だからと言って、年に10本程度しか映画を観ない人たちが、そんな映画祭の動向に注目しているはずがないのだし、過去を振り返れば、『ユリイカ』だって2つも賞を獲得したにもかかわらず、とりわけテレヴィでの報道など皆無に等しかったがために、テアトル新宿での極短い上映期間しか与えられなかったのだし、確かに是枝監督のファンは確実に存在しているのでしょうが、少なくとも本日初回に駆けつけた人々の中には、彼の少ないフィルモグラフィーを全部観たと言える人は、恐らく2割もいないのではないかと。以上は故の無い私的恨み言だと捉えていただいて結構ですが。

そんな状況ではありましたが、映画のほうは大変面白く、満足しました。演技と言う意味でなら、YOUは映画初出演ながらなかなかいい演技を見せてくれましたし、ヤギラユウヤ君にいたっては、もはや演技とは言えないような感じも。だからと言って彼の仕草や表情には、超自然的な力が漲っていて結果的に見事としか言いようが無かったし、それは恐らく無=意識の演技に他ならず、それをさらに突き詰めれば、浅野忠信氏のようなレヴェルにまで達するのかも知れないとすら思いました。4人の子供たちは一年以上の撮影期間中、擬似的な兄弟として生活していたはずで、そのかりそめの自然さの中から演技を引き出していく是枝監督の即興的演出には前作同様舌を巻きました。それとあの一番下の女の子ですが、彼女は『KILLBILL Vol.2』に出てくる子役の女の子に匹敵するほどのかわいさと、あちらにはない悲しさが漂っていて、泣けましたね。

『誰も知らない』についても、いずれ文章にするつもりです。
本日は『ドリーマーズ』を書き上げようと思いましたが、途中まで出来上がっていた文章を会社のPCから転送し忘れていたことに気づき、また一から書くのもあまりに馬鹿馬鹿しかったので、またもや延期です。こうして書かねばならない文章がたまってくると、勢い、一つ一つが“やっつけ仕事”になりがちですが、それではこのサイトを始めた意味が全くなくなってしまうので、その辺には意識的でありたいと思う日曜日の夜です。


2004年08月15日 20:06 | 映画雑記
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