2004年08月31日

GAINSBOURG et cinemabourg*

ゲンズブールの墓以前は60年代〜70年代のロックばかりを好んで聞いていたのですが、いや、ほとんど狂っていたと言えるのでしょうが、実はある一時期シャンソンに目覚め、連日連夜、あの難しい発音からなる、美しくも下品なシャンソンに傾倒していました。どのような経緯でそうなったのかは覚えていませんが、一つだけ記憶しているのは、当時の「タモリ倶楽部」でかかったセルジュ・ゲンズブールの「L'anamour」という曲、あの番組でかかったのですから、言うまでも無く「空耳アワー」で聞いたのですが、にもかかわらずこの曲に打ちのめされ、もう次の日には買いに行っていたような記憶が。ゲンズブールは映画も撮っていたので、東京で見られる限りの映画を観て、本を読んで、もちろんCDも聞いて、終いには彼の墓参りまでしてきたほどです。すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、当サイトの名前も、彼の名前から一部イタダいています。ですので、このサイトに正式な読み方があるとすれば、“シネマブール”ということになりますが、まぁそんなことはどうでもいい話で。

ゲンズブールが監督した作品は、いずれも変な映画で、興行的な成功とは遠いものばかりだったと思います。それでも、渋谷でのリバイバルを連発していた90年代は、エディター・川勝氏やピチカート・小西氏の煽動もあって、かなりウケていた様子でしたが。何といいますか、独特というか“毒特”と言うか。ヘンテコな映画が多かったわけです。俳優としてのゲンズブール作品は、それなりに売れた映画もあります。『Slogan(スローガン)』などはバーキンとの関係上決して無視できない作品です。『Je vous aime (ジュヴゼーム)』に到っては、やはり当時大好きだったカトリーヌ・ドヌーヴとの競演でしたから、やはりはずせない一作でした。そして、『Je t'aime moi non plus(ジュテーム・モア・ノン・プリュ)』。この映画には個人的にかなりの思い入れがありまして、それは別に、ゴダールやトリュフォー以外の批評家から総スカンをくらったという事実にあるのではなく、スキャンダラスなテーマソングにあるのでもなく、もっぱら主演のジョー・ダレッサンドロの怪演にありました。私が観てきた俳優の中でも、群を抜いて怪しく、同時に、ほとんど神秘的ともいえる美しさを秘めた男でした。このようなアングラ俳優を主演にしながらも、傍らに男娼的美人・バーキンを据えるセンス。そして、あろうことか、白馬に乗ったジェラール・ドパルデューまで! ゲンズブールの類稀な才能に当時は嫉妬しつつ、心酔したのです。

全くの造語であるこんな名前をサイト名にすることで、例えば誰もこの名前では検索しないだとか、始めて説明するときに「意味は?」とか尋ねられて困ったりだとか、どちらかと言うとマイナス面ばかりが目立ちますが、それでも本人は意外と気に入っています。近々ロゴも作成予定ですので、出来次第、上にあるマラパルテ邸のイラストに重なることでしょう。

:::追記:::
写真を差し替えました。ゲンズブールの墓です。モンパルナス墓地にて[M]が撮影。

2004年08月31日 09:30 | 映画雑記
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