2008年01月25日

映画から遠く離れた睦月だが…

とんと、ご無沙汰でした。

年末から今週にかけて、友人からの頼まれイラストに追われ、私にしては大変珍しく、というかほとんどありえないことですが、たった2本しか映画を観られませんでした。仮にも映画ブログを運営している身として、これはまったく情けない限りです。今年はどこかで猛烈に取り返さない限り、昨年の本数を上回ることはないでしょう。なるほど、こうして徐々に映画から遠ざかっていくのか……
などとは間違っても結論づけてはならないので、この一ヶ月間をあくまで例外中の例外と位置付け、今週末より、狂った果実のように、狂えるメサイヤのように、気狂いピエロのように、映画漬けでいきたいと思っておりますです。
というわけですので、1月の「超・必見備忘録」はお休みさせていただきました。

観た映画2本はいずれも、年始を飾るに相応しいと無根拠にも言いたくなる作品でした。
マノエル・デ・オリヴェイラの新作『夜顔』は、笑ってしまうくらい劇的なことが排されているようで、笑ってしまうくらい濃密な空気が漂う傑作でした。実際、笑ってしまう描写が数シーンあったものの、実はとてつもなく不気味な映画のようにも。『昼顔』に対する解答でも、パロディでもなく、単なる後日鐸でもない。もちろん偉大なるブニュエル&カリエールに対するオマージュには違いないのですが、その範疇からもドロっと溢れ出ているような、そんな気さえしてくるのです。ミシェル・ピコリの荒い息使い、美術作品に向ける意味あり気な視線、ビュル・オジエ演じるセブリーヌに対し、38年という時間の経過を訴えつつも、まるでそんな時間などなかったかのように振る舞う無邪気な残酷さ等々、とにかくミシェル・ピコリが素晴らしい。もっとも、彼は私にとって、どの作品でも素晴らしい存在でしたが。
ユーロスペースでも公開中ですので、未見の方は是非。たとえ『昼顔』を観ていなくても。

もう1本は山下敦弘の『中学生日記』。ncwの「アクター 山下クラス」で制作された49分の短編です。
何シーンかで豪快に吹き出してしまったという事実を伝えるだけで、この映画の面白さは伝わるんじゃないかと思います。もう一つ付け加えるなら、山下監督は映画におけるフィクションというものの本質を肌で分かっているような感じがしました。問題は“本当”か“嘘”かではなく、それが画面上でいかに“生きている”のか、それこそがフィクションの、ひいては映画の本質だと宣言しているような感じ、とでも言いましょうか。実際はそんなこと考えていないのかもしれませんが、私にはそのように思え、一人嬉しくなった次第です。

さて、やっと週末が自由の身になりましたので、この1月最後の週末は4本目標で。

2008年01月25日 19:00 | 映画雑記
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