2006年02月01日

『レジェンド・オブ・ゾロ』に足りない“何か”が、今はわかりません

レジェンド・オブ・ゾロ世界40カ国で初登場1位を記録したという『レジェンド・オブ・ゾロ』は、なるほど、相対的に良く出来ているような気がしました。少なくとも、『Mr.&Mrs.スミス』と比べた場合、まあここでこの2作品を比べることにさしたる意図はないのですが、男と女によるアクションがクライマックスのを彩るという点において、『レジェンド・オブ・ゾロ』のほうがより好きだと言うことに躊躇はありません。そして、運悪く公開時期が重なってしまったために初登場1位を譲ることになった『THE有頂天ホテル』に比べても、こちらのほうがより「映画」だと言うことにも。俳優の差なのか、演出の差なのか、スケールの差なのか、あるいは撮影監督の差なのか、そこには様々な差がありますが、私個人としてはそのように思いました。

しかし裏を返せば、“中庸なアメリカ映画”という印象の域を出ないということでもあります。ハリウッドアクション大作でも、そんなこちらの思いを逸脱していく凄い作品が存在することを考えると、やはり何かが足りない気がしてしまうのです。
どうしたって存在してしまうアメリカ映画の伝統が画面に滲み出ても、私はその所為で作品を貶める気など毛頭ありません。むしろそれは喜ぶべき部分でもあるのです。だから、ゾロが乗るトルネード号と列車が併走するシーンなどはそれなりに興奮したし、しかも、そのトルネード号の様々なアクションと表情を表現するために11頭もの馬を用意したことは賞賛したいとすら思います。華麗な剣さばきというより、半分は殴り合いに終始してしまう部分もまたどこかアメリカ的であり、それはそれで悪くありません。私は綺麗な顔をして下品な声を出す女優が好きですから、アクションシーンにおけるキャサリン・ゼダ・ジョーンズの下品な叫び声も楽しめました。しかし、何かが足りない……

まぁ別に本作を無理に褒める必要も無いし、逆に無理に欠点を探す必要もまたないわけで、“それなりの”アメリカ映画が観られたということで納得すればいいのかもしれません。“それなり”ですらない映画は沢山あるし、むしろ多少の不満を抱きながらもまぁいいかとやり過ごせる映画が大半なのでここではこれ以上言及しませんが、先述した足りない“何か”について考えてみることは、今後も多くの現代アメリカ映画を観ていくことで、あるいは興味深い論考へと発展する可能性があり、だから今はとにかくアメリカ映画を沢山観ようと思うのです。

2006年02月01日 12:21 | 邦題:ら行
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