2006年01月10日

『ビッグ・スウィンドル!』を観て、新年一発目の選択ミスを味わう

正月休みも明けて心機一転と行きたいところですが、その後に三連休などがあるとなかなか現場復帰できませんね。それは仕事だけじゃなく映画のほうも同じようで、この連休中に観るつもりだったシャンテシネの2本を悉く逃してしまい、まぁ私のような超・億劫者にとって、日比谷まで出て行くにはそれなりの決意と意思が必要とされるのでそれも止むなしというところですが、じゃあということで、近場だからという理由でほとんどその場のノリで観にいった『ビッグ・スウィンドル!』が全くもって面白くなく、あまりのつまらなさに途中で寝そうになるという体たらく、大して鋭くは無いと日頃から自覚している映画を選ぶ眼力も、休みあけだからでしょうか、衰えているのかな、と思いました。

まぁそもそも『ビッグ・スウィンドル!』にものすごく大きな期待を寄せていたわけではないにせよ、何度も見せられた予告編のつくりが多少の期待をさせるような出来栄えだったからなのですが、5人から成る強盗団を組織する際の、この手の映画には不可欠であろう“選別”のシークエンスに魅力を感じなかったというのが決定的でした。さらに言えば、“2004年最高のシナリオ”と韓国では言われていたらしいこの物語には、何と思わせぶりなシーンが多いことでしょう。“思わせぶり”と言えば若干聞こえはいいので別の言い方をすれば、中途半端なフラッシュバックの存在により、重要と思われるシーンが死んでいたような気がするのです。ただし、寝てしまいそうになっていたくらいなので、私のこの文章にも信憑性はないのですが。

ただし、本作とは趣が異なりますが、かれこれ15年近く前に撮られた『レザボア・ドッグス』のほうが、数倍上手いし面白い映画だと言うことだけは断言できます。(全員ではないにせよ)互いに素性が明らかではない強盗団が密室内で裏切り者を探すというこの映画、大筋だけなら本作と大して変わりませんが、タランティーノが無類の映画好きだからでしょうか、シーンごとの緊迫感やその緊迫感ゆえに生きてくるユーモアが、『ビッグ・スウィンドル!』とはまるで異なります。ロマンスめいたシークエンスもないし、どんでん返しもほとんど禁欲されてはいますが、それでも『ビッグ・スウィンドル!』よりは随分と満腹感のある映画なのです。

別に『ビッグ・スウィンドル!』を面白いという方がいることは否定しません。もしかすると、私が偏屈なだけなのかも知れませんし、たまたまその日の体調が“『ビッグ・スウィンドル!』向き”ではなかったのかもしれませんが、それでも恐らく、もう一度観たからと言って解消される問題ではないと思っております。その辺り、北野武の『dolls』を始めて観て失望し、それでももう一回観れば…と思い二度目を観て感動した記憶とは、やはり全く異なりますが。

さて、現在書いている『ある子供』評がそろそろ書きあがりますが、もうそろそろ最後、という段階でなかなか完成しません。そのためにある映画(この段階でもしお分かりになったら驚きますが)をレンタルしてきて、そちらはすでに二度観てしまうくらい時間はあるのですが、観てから結構時間が経ってしまっているせいか、どうも強い確信が得られずにいます。しかし、もう一度観るとなると、それはそれで困難ですから、何とか明日には書き上げたいなと思います。

というわけで、このエントリーは、なかなか書きあがらない『ある子供』評までの“時間つぶし的”な意味合いを帯びていますが、その辺は当サイトを日頃ご覧になっている方にとってはいつものことなのでしょうから、そ知らぬ顔でやり過ごしていただければと。

2006年01月10日 22:56 | 映画雑記
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