2005年08月13日

『旋風の中に馬を進めろ』(V)と『銃撃』(V)は、観ることでその凄さを実感してもらうしかない

原題:RIDE IN THE WHIRLWIND/THE SHOOTING
上映時間:ともに82分
監督:モンテ・ヘルマン

モンテ・ヘルマンにかかれば、すでに確立されたジャンルとしての西部劇をも解体し再構築されます。この視点に立てば、マカロニ(スパゲッティ)・ウエスタンやニューシネマ的ウエスタンの“相対的な新しさ”も色あせて見えることでしょう。

この2作品は、同じスタッフ・キャストで同時に撮影されました。製作総指揮であるロジャー・コーマンのいかにもB級的発想ですが、驚くべきは、双方に出演したジャック・ニコルソンによる脚本と、停滞と倦怠を画面に定着させたモンテ・ヘルマンの演出の見事なコンビネーションです。にもかかわらず、このあまりにも“早すぎた”2本の西部劇はほとんど黙殺されてしまいます。数年後に制作されることになるデニス・ホッパーの『ラスト・ムービー』ですら“早すぎた”のですから、モンテ・ヘルマンの“早さ”は尋常ではなかったのです。

西部劇的な対決や叙情、そして活劇性までも捨て去った結果、沈黙や停滞が画面に漂う。その反=劇的な“何も無さ”は、不条理ですらあります。であるがゆえに、これらの映画は『GERRY』(そういえば本作もベケットを引き合いに出し宣伝されていた)同様、決して面白くはありません。もちろん、“面白くはない”という言葉は賛辞に他なりません。

何も観なかったかのような透明性と突出した観念性。この感動を言葉にするのは難しい。だからこそ、この2本の西部劇は観られなければならないのです。

2005年08月13日 12:53 | 邦題:さ行
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