2005年08月09日

遠まわしな地元礼賛、ほか

昨日、仕事帰りにシネ・アミューズの前を通りかかったら、ただの舞台挨拶やトークショーでは考えられないほどのテレヴィカメラマンたちが、ビル1階を占拠していました。一瞬しか見えなかった彼らの表情には、うだるような暑さの所為でしょうか、一様に疲れの色が。はて、一体何の騒ぎだろうと2秒ほど考えましたが、すぐにどうでも良くなり、自分にとっては今晩何を食べるのかという間近に迫った問題のほうがよほど重要であったため、特に立ち止まることもなく、家路についたのでした。

結局、思考停止状態のままローソン購入した「からあげクン(レッド)」やら「ジャイアントフランク」やら、貧しさを極めた(いや、別にお金が無いわけでは…)夕食と赤ワインを舐めつつ、所謂「月9」を観るとも無く観ていると、さっき通ってきたばかりの、私の家から歩いて2分とかからない、とあるbarが出てきました。早稲田大学を中退した某女優がその見慣れたbarの扉を開けるという、ごく短い1シーンの後、そのbar店内が映しだされるのですが、もちろん、店内の様子はスタジオ内に設けられたセットです。というのも、その建物はえらく薄っぺらく、あのような奥行きのある店内にはなりようがないからです。その後、彼女がbarから出て、私の通勤路でもある旧山手通りをとぼとぼと歩くというシーンもありました。
へぇー、などと今更ながら驚くというのも可笑しな話で、すでに6年近くこの場所に住んでいれば、これまで幾度と無くドラマのロケ現場に遭遇したのですが、ただそれをあらためてテレヴィの画面で観るという経験が無かったというだけの話。そもそもドラマの類はほとんど観ませんし、いや、テレヴィ自体も、定期的に観ているのは朝の「やじうまワイド」くらいしかないのですから。

そして今朝、その「やじうまワイド」芸能コーナーを観ていて、昨日のシネ・アミューズ前における喧騒の理由がやっと了解されました。どうやら昨日は、同じビル内のシネ・ラ・セットにて、『リアリズムの宿』主演の若手劇作家によるトークショーがあり、その彼が、ちょうど数日前に報道された某「ロト6」CMの女優、というより、あるドラマを封印してしまったことで記憶さるべき女優といったほうがわかりやすいのかもしれませんが、彼女との熱愛発覚のニュースの当事者であったこと。それが昨日の、あの疲れたカメラマンたちの存在理由だったのです。確かに他人の色恋沙汰のために、ちゃんと撮れるのかも定かではない絵を求めて、暑い中劇場まで駆けつけなければならない彼らにしてみれば、あの表情も肯けるというもの。芸能リポーター曰く、彼は(案の定)報道陣の質問に一切答えず、すぐに裏口から帰ってしまったとのこと。どちらにも思い入れの無い私にしてみれば、これほどどうでも良い話もまた無いわけですが、つまり言いたかったことは、それでもこの目黒区だか渋谷区だか世田谷区だかわからないような町は、刺激的な様で実はそれほど刺激的でもなく、これはこれで好きなだなぁ、とまぁそんなことなのです。

そういえばかれこれ5年ほど前に、『冷たい血』(青山真治監督)という映画のヴィデオを観ていたら、やはり自宅から1分くらいの歩道が登場して、それには驚き、何故か妙に嬉しかったのを思い出します。いや、別にテレヴィを映画より下に位置しているわけでは決して無いのですが。そもそもが別モノですからね。

あ、観たことをすっかり忘れており触れずにいましたが、『ある朝スウプは』は鑑賞済みです。いくつか問題もありますが私は嫌いではなく、カメラ位置などかなり工夫&苦労したなと思わせるショットが多く、自主映画であれだけの作品が出来れば賞賛に値するのではないか、とすら思いました。
イカ監督、大阪で上映されたら是非観てください。とりあえず、貴兄にのみリコメンドしておきます。

2005年08月09日 12:31 | 悲喜劇的日常
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/475
Trackback
Comments
Post a comment









Remember personal info?