2005年04月02日
『カナリア』、“期待”してしまうことの理不尽さ
原題:カナリア
上映時間:132分
監督:塩田明彦
作品間の振幅の大きさで言えば、現在の日本映画界でも特筆に価するであろう塩田明彦監督ですが、本作に関してはこちらの勝手な期待値を超えることがなかった。
ただし、それはテーマとして、あるいは撮影手法としての是枝裕和監督との類似性とは何の関係もありません。たとえ『ディスタンス』や『誰もしらない』を観ていなかったとしても、その評価は変わらなかっただろうと思うからです。
一つ一つのエピソードはほとんど言うべきところがない程、良かったと思います。西島秀俊は言うに及ばず、つぐみ、水橋研二、甲田益也子の演出は流石というべきものがありました。
しかし何故でしょう、あの重厚な主題を前にして、この満足感の欠如は。
期待が大きすぎたのでしょうか。であれば、私はこの映画に何を求めていたのか。
ほとんど故の無い幻想を抱きつつ、作品の出来とはいかなる関係もない部分で、その評価に影響を与えてしまう“期待”という抽象的存在。『カナリア』は、その理不尽とも言える問題を提起してくれたという意味で、重要な作品だったのかもしれません。
2005年04月02日 23:13 | 邦題:か行
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/602
Trackback
Comments
Post a comment