2004年11月08日

人は瞬間的に多くの物事を考えられるということ

大崎周辺地図月曜日に先週の出来事をつらつらと書くというのも、何だかナァと我ながら思うのですが、今日は映画以外の話を。
実は、というほどのものでもありませんが、先週木曜日から昨日まで、私はことごとく酒びたりでした。おかげでTSUTAYAが半額だというのにヴィデオも借りず、手持ちの金の大半は酒に消えていったのです。そんな中、土曜日は大学時代の悪友の結婚式の2次会がありまして、本来であればまぁパァーと酒を飲んで大いに騒ぐところなのですが、何とも途方に暮れてしまったという話。

2次会会場は白金のブルーポイント。自転車ならそれほど遠くないだろうという自信が不幸にも打ち砕かれ、地図も見ずに家を飛び出したのですからそれも当然と言えましょうが、気づいたら学芸大前辺りをふらふらと蛇行している始末。もうとっくに会は始まっているし、乗っている自転車はもらい物のママチャリなのでギアなどは無いし、何でこう坂道が多いんだろうという理不尽な憤りは沸いてくるし、その上2次会とはいえ一応ベルベッドスーツなど着ていたので暑いこと極まりないしで、ジャケットを脱いで黒いシャツのボタンを3つほど空け、ベルベッドのパンツを履いて目黒通りをママチャリで疾走する姿はかなり滑稽だな、などと思っている内に何とか会場までたどり着いたのですが、本当に困ってしまったのはここから。汗だくで会場に入るや否や、そうだった、ここには新郎以外誰一人知っている人間が居なかったのだと思い当たり、恐らく新郎新婦の仕事関係の友人やら学生時代の友人やらでごった返す会場の席という席はすでに埋まり、誰も知り合いの居ない汗だくの私は入り口付近でいかにも居心地悪く立ち尽くすほかなかったのです。程なく新郎が現われ、何とか一言声をかけたのですが、あまり酒の強くない新郎は完全に泥酔状態、本当に私のことを認識しているのかどうかも疑わしく、もうこれで頼みの綱が無いに等しい私は、とりあえず飲めという心の声に従ってワインをがぶ飲みするも、自身のあまりの孤独さと、それに反した周りの楽しげな雰囲気に完全に敗北し、結局わずが40分程で会場を後にしました。その間完全に無言だったので酔うことすら儘ならず、これからまた自転車で帰らなければならないことを思うと、なんで電車にしなかったんだ!と激しく自分を呪い、大きなため息と共に諦めの境地に辿りついて自転車をこぎ始めて数分後、何故か大崎駅前を何も考えずに颯爽と通り過ぎている自分に気づいたのが23:00頃でしょうか。何で今大崎にいるのだろう、もはや目黒区ですらないじゃないか…そう思って来た道をまたもや汗だくで戻っていると、そんな時に限って前方から警察官と思しき男性が私に近づいて来たので、

“いかん、このままでは「ちょっと自転車見せてもらえる?」などと声を掛けられてしまう、この自転車は紛れもなく自分の物ではあるが、厳密に言えばもらい物で、盗難シールを調べられたところでまず心配はないだろうが、名義が違っているからそれをいちいち説明するのも面倒だし、加えて、ネオレアリズモ映画『自転車泥棒』に触発されて自転車泥棒になったことがある恥ずべき過去の記憶が瞬時に甦ってきて、泥棒したわけでもないのに自分の立場の危うさだけが妙な現実感を持って迫ってきたので、よし、ここは先手必勝だ”

と瞬間的に判断し、「すいませ〜ん」と自ら警察官に近づき、「目黒区大橋にはどうやって行けばいいんすかね?」などととぼけた振りしてババンバンいう感じで善良な市民を装いつつ道を尋ねたわけです。その警察官は職業的義務感をその表情に漂わせつつおもむろに帽子を脱ぐと、その中に隠されている周辺地図を取り出し、警察官らしからぬたどたどしさで私に道を教えてくれようとしていましたが、私はというと、すでに結構冷静になっていたので帰り道の見当はついていたし、何より、帽子に隠されていた地図を出すしぐさが何故か“映画的”だったためそのしぐさだけが何度もリフレインされ、警察官の説明などほとんど耳に入らなかったのですが。まぁ結果的に泥棒とはみなされずに済みましたし、実際のところ私は泥棒ではないのですからそんなことは当たり前ですが、そこから約20分程で自宅までたどり着くことが出来たわけですから、めでたしめでたしでした。

帰宅後、多分今頃はトイレで胃の内容物を全て戻しているであろう新郎に、ほとんど恨み言めいたメールを送信したのは、言うまでもありません。

2004年11月08日 12:17 | 悲喜劇的日常
TrackBack URL for this entry:
http://www.cinemabourg.com/mt/mt-tb.cgi/108
Trackback
Comments

oops!

大変失礼をばいたしました...m(_ _)m
その節はどうもでした。

たまに…でいいですよね、うん。
毎回こんな話ばかりだと、相当悲しくなりそうなので。

「孤独な男はよく喋る」と『気狂いピエロ』にもありましたが、あの時はただ絶句いたしました。その反動が、この日記でしょうね、多分。


Posted by: [M] : 2004年11月09日 19:08

blancさんのblogでお会いしてますよ‘@‘〜
たまにこういうお話が読めると面白いですne


Posted by: Keiko : 2004年11月09日 18:24

>keikoさま

はじめまして、ですよね?
ミステリアスなコメント、ありがとうございます。
実は私、ウイスキーが飲めないのです。


Posted by: [M] : 2004年11月08日 21:26

孤独癖のある人に自転車をどうぞ。・・・しかーし孤独癖の治らない輩でも孤独に押し潰される事もありますから・・・お酒はかなりの力を持って迫ってきますがチョコレートも捨て難い魅力が・・いっそ私はウイスキーとチョコレートで逝っておきます


Posted by: Keiko : 2004年11月08日 19:08
Post a comment









Remember personal info?