2007年09月26日

エロくて、ビッチな女のラップダンスを観て、「俺の好みだ」と呟いたあの日

20日ぶりの更新になります。
いつもながら、長らく更新していなかったことに深い意味などなく、まぁここ1ヶ月仕事が忙しかったというのはあるのですが、だからといってここ1週間はそれも落ち着き、ブログを書く時間は充分にあったのだし、精神的な余裕もまた同様に充填されつつあったのです。ただ同時に、ほとんど抜け殻のようになっていたのもまた事実で、映画だけはいつものペースで観ていましたが、大いに飲んで大いに寝るという、言ってみれば自堕落な状態からあえて這い出ることもなかろうと思われたまで。しかしそれもまた退屈であることに変わりはなく、せっかくいい映画を何本か観ているのだからという一心でまたぞろカムバックした次第です。

さて、実を言えば、更新していない間にも、ここに書いておくべきネタは結構ありまして、例えばまたまたフットサルで肋骨を折ったりだとか、泥酔してタクシーに携帯を忘れたりだとか、買って3ヶ月の自宅PCがあっさり逝ってしまったとか、ストレスとそれを紛らわす酒の飲みすぎか、正確に4日間下痢が続いて深く落ち込んだりとか、長かった髪をバッサリと切ったとか。ただし、いずれも映画とはまったく関係の無い出来事ばかりで、そんな記事ばかり書いていると、このブログの名称も変えねばなるまいと思われたので自粛。

どれ程忙しくても体がそれそ欲していたのか、映画はこの20日間で11本鑑賞しました。より正確に言うなら“10本で11回分”と言うべきで、ダブっているのは他ならぬ大傑作『デス・プルーフinグラインドハウス』なのですが、2回目(いや、やはりUSAバージョン『グラインドハウス』とは別物なので、1回目か)の鑑賞には前日から徹夜で臨み、かつ、その数時間前に凡作というかほとんど駄作と言ってもいい『HERO』を観てしまっていたためか、これが大傑作にもかかわらず開始10分程度で深い眠りに落ち、気づけばラストの爽快極まるリンチシーンだったという体たらくで、だからといって、あのラストシーンが観られたんだからオッケーオッケー!というわけにもいかず、結局は数日後にダメ押しの3回目(というか2回目)を鑑賞、やっぱり本作は疑いようもない大傑作でした、チャンチャン、という話。これを超え得る作品が今年何本あるのか、という相対的な話はこの際どうでもよく、その遊戯性、その活劇性、その祝祭性を前にして、映画はここまで人を幸福(と言う言葉しか今は浮かばないのがなんとも歯痒いばかり)にするのかということにただ驚愕するほか無く、いくら、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』に嬉々として出演するクエンティン・タランティーノの気持ちをあまり理解できなくても(いや、この際俳優としての彼の評価は当然分けて考えねばなりません)、やっぱり彼は私にとって最も重要なアメリカ映画作家であるに違いないと確信、今後、もし仮に、タランティーノ好きと自称する人間が『デス・プルーフinグラインドハウス』を観ずしてそのような自己を深く省みないような現場に遭遇したとしても、あくまでやさしく、あたかもマリワナをすすめる売人が耳元で囁く映画の1シーンのように、この大傑作の美点を懇切丁寧に教えてあげるくらいのことはしなければならないと決意しました。

その他の映画に関して。
その事実の発見には正直に驚きを隠せなかったものの、『シッコ』におけるキューバ上陸までのシークエンスには若干の辟易も隠せず、『ブラック・スネーク・モーン』はすっかり痩せてフォトジェニックに成り下がってしまったけれど、ほどほどにビッチだったクリスティーナ・リッチではなく、サミュエル・L・ジャクソンの存在感と才能が全てだったのだからOK!と思い込んだり、あまりに期待値が高かったためか『追悼のざわめき』が妙にあっさりと終わってしまったこととやはり長いのではないかという印象が拭いきれず、『明るい瞳』における重要であるはずの濡れ場がフランス映画にしては審美的だったことにいささか失望しつつ、どんなに“焼き直し”とわかっていても『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』におけるラミエルの形態変化とその音響の見事さに敗北し、『ショートバス』にまるで共感できなかったばかりかその“いやらしさ”に呆れたり、『マラノーチェ』におけるモノクローム画面の荒々しくも繊細な美しさと、それとは裏腹な物語のつまらなさというか青臭さに複雑な思いを抱いたり、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』を観ておきながら、終映後にはその作品に関してはほとんど想いを巡らすことが無かった代わりに、過去のスパゲッティ・ウエスタンを見直そうという意思が固まったり、『サッド ヴァケイション』における、これまでの青山作品には無かった(といっても私は4本ほど見逃しているのでまったくもって根拠の無い主観でしかありませんが)と思われる、光石研と斉藤洋一郎のやり取りを観てどう受け止めればいいかわからなかったわりに、浅野忠信が水に入っていく長回しに感動、そんな風な、感動⇒驚き⇒複雑な思い⇒しかし感動し驚く、というプロセスを実感しながら、これが映画だ、と最終的には絶賛してもいいと結論したりだとか。まぁざっと言うならそんな感じで。

またぼちぼち忙しくなりそうな予感もしますが、それでも精神的には健全(?)であるぞという、言わば大人の態度で、このブログもやや意識的に更新していきたいと思います。
それにしても、今年のTIFF、どうしますかね……。

2007年09月26日 21:20 | 映画雑記
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