2007年08月14日
すべてをシンプルに
先週観た映画。
『街のあかり』
素晴らしい。
中盤以降、あまりに厳格で無駄のない画面作りに、脳裏にブレッソンという名前が浮かんでは消えた。『ラルジャン』とまではいかないが、78分という上映時間も申し分ない。ラストシーンのクローズアップは、まるで『スリ』じゃないか、と思ったら、パンフにそんなようなことが書いてあった。カウリスマキはこの方向を究めていくのだろうか。それを見定めるためにも、今後はずっと付き合っていくと決めた。
『トランスフォーマー』
予想を越えない出来だったが、十分楽しめた。
逃げ惑う主人公の姿に、『宇宙戦争』が重なってしまう。まさかトランスフォーマーが言葉を発するとは思っていなかったのだが、主人公を守るオートボッツが最後の最後まで言葉を発しなかったのはいい。5体のオートボッツのキャラクターの描き分けは、まるでアメリカ戦争映画のようにわかりやすく、悪く言えばやや稚拙過ぎるとも思った。随所に描かれたギャグ(とりわけ、主人公の自宅で姿を隠しているシーン)もまた幼すぎる。が、これらの不満など、実際どうでもいい。『トランスフォーマー』はそういう映画なのだから、言うだけ野暮だ。
CMや予告編でも観られたが、あの手の巨大なエイリアン(あるいはUFOでもいい)を初めて目にする男が、「一体なんだ、これは…」と目線を上げ絶句するというショット、ああいう決まりきった、ほとんどシナリオを書く前から存在しているんじゃなかろうか、と思われるショットが、実は楽しみだったりする。私はああいう部分にも、大いにアメリカ映画を感じた。
何気にジョン・ロビンソンやジョン・タトゥーロが出演していたが、そこに期待された彼らの姿(イメージ)は存在しなかった。それもまた、これが『トランスフォーマー』なんだから、言うだけ野暮。
2007年08月14日 19:09 | 悲喜劇的日常
>tamiさん
ご無沙汰です。お元気でしたか?
東京も35度を超えたりしてるようですが、群馬あたりに比べるとまだましなのかもしれませんね。
『トランスフォーマー』そんなに酷評ばかりでしたか。
そもそも私は、マイケル・ベイを高く評価している文章をほとんど読んだことがないのですが、あまりに贅沢な予算と時間の使い方とか、それでもペイできてしまうアメリカ映画のシステムとか、この映画は、内容よりもそんなことを考えさせられました。まぁマイケル・ベイはともかくとして、スピルバーグの振れ幅には毎度驚かされます。
『さくらん』、実は観ていないのです。
そうか、tamiさんは仕事柄、という感じが強かったのかな? 土屋アンナに関しては、あのイメージを払拭してくれるような映画であれば観てみたいですね。
映画も雑多に観ているとハズレもまた良し、という風に考えられるのでしょうね。私の場合も、週に2本程度をやはり厳選して観ていますが、最近はよほどのことでは腹を立てることもありませんし、もどかしくなることもなくなりました。
Posted by: [M] : 2007年08月16日 16:23
私もトランスフォーマー観たいと思っていました。
というかお久しぶりです。暑いですね。毎日。
で、トランスフォーマーの評価がどれもあまりにも酷評だったのが気になり、まだ観に行ってないのですが、確かにあれば内容うんぬんというよりもスピルバーグの子供心炸裂な変身する機械を観ることに醍醐味があるのでしょう。というかそこだけでいいのかもしれない。
先日DVDでさくらんを観ました。蜷川実花さんの色彩感覚と、友人が衣装担当をしていたため、観ねば、と思い、原作もすでに手に入れていたのですが、あまりにもアンナちゃんの演技が残念で。。。
ちょうどアンナちゃんがあの映画の撮影中に撮影で一緒したのですが、本人的にかなりしぶるシーンが多くて精神的につらかったようです。それを知っていたからなおさら無理があるように思えてしまい、いくら原作の表紙のきよ葉にそっくりだという理由で猛烈なラブコールをかけたとしてもキャスティングミスだったのではないかと。。。
菅野美穂ちゃんはさすがでした。花魁役としては迫力やせつなさが足りないかなと思いましたが、原作とはまた違う、菅野美穂オリジナルの花魁ぶりが唯一観られるところだったかと。。
最近厳選して映画を観ているせいか、久しぶりにもどかしいできの映画でした。
Posted by: tami : 2007年08月16日 13:40