2007年07月31日

それが生命とはいえ…

アルトマンの作品を数本観て、やはり映画作家の追悼など容易には出来ないということを痛感し、だから、イングマール・ベルイマンの死を、自分なりの倫理にしたがって静かにやり過ごそうとしていたところに、これは単なる偶然でしょうか、いや、映画の神の気まぐれでしょうか、ミケランジェロ・アントニオーニの訃報が飛び込んでくるとは……。

本来であれば、この手の記事を書くことはなかったはずなのです。しかし、アントニオーニの死は、あまりに衝撃的でした。
もちろん、彼の状態が芳しくなかったことくらい随分前から知っていたし、ベルイマン同様、もう彼が作品を撮ることはないのかもしれないとすら覚悟していたのに。それほどまでに、アントニオーニが私にとって大きな存在だったとか、そんなことを言いたいのではありません。ただ、このショックの大きさが自分でも驚く程なのです。

94歳。しかし、大往生などと軽々しく言って済ませない、それほどまでに、彼は偉大でした。しかしだからといって、ゴダールが適切に評したように、貴方は私にとっても、映画そのものだった、などと言って良いものか…。

『欲望』のポスターをおしゃれだと部屋に張っている人間がいるというこの現状を、貴方は知っていたのでしょうか。しかしごく個人的な話ですが、私はあのスキャンダラスな『欲望』より、断固として『赤い砂漠』を支持します。それはおそらく、今後も変わらないでしょう。そういえば、モニカ・ヴィッティという、若かりし私にとっての女神を紹介してくれたのは貴方でした。

しかし、この文章…こんな感傷的な文章を書きたかったはずではなかったのに…。
私はすべての作品を観られていませんが、ひとまず、80年代以降の彼の作品を改めて観なおすことで、独り貴方の死を悼むとします。

2007年07月31日 22:50 | 映画雑記
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