2007年10月22日
33歳でゲシュタルト崩壊は回避するぞ宣言
先のエントリーで、宮崎合宿に関する文章を書きましたが、先週金曜日、その合宿の打ち上げと称した飲み会がありましたので、参加してきました。今回集まったのは12名。そして私は、彼らの前で、ついに宣言してしまいました。来年度より、私もウイイレ大会へ正式参加することを……。
これは私にとって、あまりに画期的な出来事です。もちろん、自称・似非ゲーマーである私が、大会に参加すること自体が画期的なのではありません。
基本的に、私のプライヴェートは、映画と酒でほとんど占められており、そこに1年ほど前からフットサルが加わったのですが、それとて月1回程度です。そんな私が、宮崎合宿(といっても、私はほとんどただの観光客に過ぎなかったのですが)を機に、長年かかって形成されてきたプライヴェートの配分バランスを変えようとしていることが画期的なのです。
その打ち上げでは、12月に控えたドラフト会議を前に、どのハードを使うかが盛んに議論されていました。PS3か、X-box360か、あるいは現状のままPS2か。これまでであればどこ吹く風だったその議論も、もはや他人事ではありません。ドラクエ以外のゲームをやらなくなって久しい私が、再度ウイイレに心底燃えることが果たして出来るのか? しかも、そのドラクエの新作も、来年発売されると言うのに。つまり、来年の私は、映画と酒とドラクエとウイイレという、自分でも心から「(時間的にも社会人的にも)大丈夫か!?」と思わざるを得ない状況に突入するということなのです。いや、実際には、それ以外にも様々な“娯楽”があるはずのプライヴェート。中でも一番憂慮されるのが、映画の鑑賞本数です。しかしながら、断固としてこれだけは譲るわけにはいきません。いや、むしろ譲ってはならないと言うべきか。確かにウイイレで彼らのような猛者たちに勝とうと思えば、並大抵のやりこみでは不可能でしょう。しかし、一方で私にとっての映画もまた、長年かかってその重要度を増してきているのです。そして、映画には映画の強敵(ここは是非<トモ>と読んでいただきたいところ)がいるという現実もまた、厳然と私の前に横たわっている…。
つまり、ここで重要なのは“バランス”に他なりません。
私は近年ほど、この言葉を意識したことはないと言えるでしょう。バランス感覚こそ、向こう数年間の私の至上命題になるかもしれません。あの日向小次郎もってしても、肉体の左右のバランスが悪かったばかりに、セリエAのデビュー戦で涙を流すことになったのですから(逆に大空翼はその重要性をわかっていた)。
まぁなんの話だかわからなくなってきましたが、大人はバランスだよね!ということです。
守るぞ!わがアイデンティティ!
勝つぞ!にわか仕込みの闘志で!!!
主演女優のエロスには、それだけで救われるものがある
先週は連日飲み続けていましてなかなか文章を書けませんでした。
週末に観た映画に関して簡単に書くつもりでしたが、あれだけ楽しみにしていたペドロ・コスタの新作『コロッサル・ユース』を、あろうことか寝坊して見逃すという愚行を犯してしまったことによるクリティカルダメージをずっと引きずっていて、その腹いせに観た2本の、いずれも女性が主人公であるドラマを観ても、決して癒されることはなかったのです。まぁそもそも、その2本の女性映画はそういう類の映画ではなかったのですが。
廣木隆一の新作『M』は、タイトルそのままの映画でした。主演は美元(MIWON)というモデル出身の女優で、監督が廣木隆一だからか、堕ちていく人妻のエロティックな表情や肢体を見せてくれます。彼女はその裸体を惜しげも無く披露してくれますが、むしろ下着とストッキングを身につけている時のほうがエロティックに見えるのは、彼女が人妻という設定だからなのか。あるいは単に、私の嗜好か。
高良健吾は、幼少時に父親を刺し殺した過去をもつ新聞配達員を演じていますが、『十九歳の地図』を観てからというもの、映画における新聞配達員はどこか屈折している、という何ら根拠の無い思い込みがあって、それが今回もご丁寧に当てはまっていたのにはちょっと驚きました。田口トモロヲのややダメなヤクザぶりに関してはこちらの予想を出ないまでも、悪くないという印象。
もう一方の女性映画『待つ女』は、フランスの新人監督ジャン=パスカル・アトゥの長編デビュー作。彼はアンドレ・テシネの元で助監督を経験していたとか。彼はその後数本のドキュメンタリーを撮るのですが、その中で刑務所を題材にしたドキュメンタリーがあったらしく、その経験からこの映画が生まれたようです。
本作も主演女優(ヴァレリー・ドンゼッリ)が人妻役で、しかもイタリア系らしくプロポーションが官能そのものといった感じ。前述の『M』よりも、主要人物の関係性が簡潔で理解に苦しむことはなく、ただ一点、あれだけ夫を愛していた妻が、何故看守の誘いにいとも簡単に乗ってしまったのかがわかりませんでした。
人妻と看守の逢瀬は、基本的に人気のない場所に停めた車の中に限られます。いかにもフランス映画らしく、二人の交渉は“積極的に”描かれるのかと思いきや、さにあらず、何度目かの逢瀬では、静かに佇む車をやや遠めから捉えたショットを挿入して変化を出すあたり、ちょっといい感じでした。
とにもかくにも、主演女優がかなり好みだったため、あまり細かいことを言う気にもなれません。それだけでいいのだと思わせる瞬間が、映画にはあるのですから。
さて、先週起きた映画以外の出来事については、また後ほど。
2007年10月09日
南国でオトナの遊びを知る
気づけば先週も映画は一本も観ていません。平日のレイトにもいけず、昨日は疲れ果てて自宅から一歩も出られなかったので。そろそろ禁断症状が出てきそうです。とりあえず、TIFFのチケットは3枚確保したので、今週末からは少しペースを上げて観るとしましょう。
さて、映画を観られなかったのは、先週土曜日から昨日まで、東京から遠くはなれていたから。ひとまず、ことの経緯を簡単に説明します。
私は毎月1回、神宮外苑でフットサルをやっています。会社の先輩に誘われてやり始めてからおよそ1年が経ちました。フットサルをやっているメンバーは会社関係のみならず実に様々ですが、その中心的存在であるA氏の故郷がかの知事がいる南国で、毎年1回、遠征に行っていると以前より聞いてはいました。とはいっても、その最大の目的は、フットサル自体にあるというよりは、あの傑作サッカーゲーム「ウイニングイレブン」の大会にあるのです。そのために、ドラフト会議から始まり、1年かけて自分のチームを強化しているのです。では何故「ウイイレ」の大会をわざわざ宮崎でやるのか、テレヴィとプレステ2さえあれば、東京でも開催できるのでは?という疑問が無いではありませんでしたが、今となっては、それもなんとなくわかるような気がします。つまり、彼らはその身をもって私に教えてくれたのです。“いいオトナが本気で遊ぶ”ということがどういうことか、を。
以下、宮崎でのスケジュールを時系列でご報告します。
<10月6日>
16:35
宮崎空港着。あいにくの曇り空。空港ロビーが、物産展のよう。さながら、東急東横店の催し物会場のごとし。タクシーでコンドミニアムへ。この時点でアルコール摂取量はたかだか5%くらい。
17:10−20:30
未だ“ウイイレ組”は大会真っ最中なので、我々“非ウイイレ組”は、とりあえず部屋で飲み始める。そう、ここは飲まなければいられなかった。その後に控えるあるイベントのため、テンションを最高潮に上げておく必要があったのだった。
ちなみに、途中でその大会の模様を覗きにいったのだが、あの光景は、たかがゲームの大会だろうというこちらの予想を根底から覆すような、緊張感極まる、まったくもって異様な光景だった。そこから私は、弛緩するためには緊張が必要なのだという、彼らの遊びのポリシーのようなものを体で感じたのだった。
部屋テラスからすぐ近くに海が見えるも、その色はグレー。
21:00−24:00
宮崎市内の中華料理店に入店。全員正装(人生初のボウタイ着用)で。オトコ17名が黒いスーツやタキシードで繁華街を闊歩する光景もまた、はっきり言って異様だったと思う。『レザボアドッグス』のオープニング風。もちろん、これには確たる理由があって、それはこのメンバー全員で“すべらない話”を開催するため。すべることがゆるされない緊張感の中、とりあえず一度話し終えてしまえばあとはもうままよ!
半分くらい壊れかけのレディオ。
〜未明
ここからは弛緩モード全開
全員で飲み→全員で雑炊→部屋に帰ってさらに飲み→そのまま倒れるように就寝
<10月7日>
10:00
起床。ウイイレ組が、我々の部屋にテレヴィを取りさってしまう。すでに4台のテレヴィがあるはずなのに、さらに一台追加とは…。
ちなみに、主要メンバーは全員雑炊の後、さらにカラオケ→焼肉と続いたらしい。朝7:00まで焼肉って……。しかも彼らより早く寝た私よりもみな早起きで。彼らがどれほどの意気込みでこの大会に臨んだのか、あらためて理解した。
11:00
近くの(といっても、徒歩で行ける距離ではないので当然タクシー)ホテルに露天風呂ありとの情報を聞きつけ、朝から温泉。昨晩から早朝にかけてのアルコールが抜けていく感じが素晴らしい。
13:00
釜揚げうどんの老舗「重乃井」にてブランチ。入店まで外で30分くらい並ぶ。美味すぎて大盛りを一瞬で平らげる。当然のようにビールも飲む。風呂上りだし。
その後タクシーでホテルに戻る。運転手はしゃべり好きらしく、様々な宮崎情報をくれた。
15:00−17:30
今にも雨が降り出しそうな天気なので、部屋でまったり飲むことに(といっても、飲んでいたのは私だけで)。テレヴィが無い部屋にオトコ3人。この空白の時間を埋めてくれたのは、下ネタの応酬だった。これこそ高校以来の合宿の醍醐味。
18:00−20:00
案の定、フットサルコートに出かける時には雨が降ってきて、コートに着いた時にはほとんどどしゃ降り。しかし、このフットサルが中止になった場合、非ウイイレ組3人のアイデンティティは崩壊してしまう。それを気遣ってか、皆、異常なテンションで試合開始。しかし、雨の夜のフットサルはいつも以上に楽しかった。
20:00−23:30
シャワーを浴びて焼肉屋へ。ここで事件が。私がこの世の中で最も苦手とする例のヤツ(しかもビッグサイズ!)が、あろうことか、私の左人差し指と中指の間の付け根部分に触れた。飛び上がる私。湧き上がる歓声。それを一撃でたたき殺す宮崎在住の猛者。その死骸を超クローズアップでデジカメに収める東京在住の猛者。嗚呼…思い出すだけで感覚が蘇って不快。しかし、やはり楽しかった。おかげで(?)テンションはほとんどやけっぱちに上昇。
24:00−未明
またまたここから弛緩モードへ。
全員で飲み→全員で飲み→部屋に帰ってさらに飲み→そのまま倒れたかどうかも不明
しかし前日とは異なり、この日は決めていた、朝まで寝ないと。だって、翌朝は8:05のフライトで東京に戻って来なければならないのだから。しかし…
7:30
起床。さわやかに、晴れやかに起床。そして起きた瞬間、同室のK氏に、「今何時っすか!!!!!???」。準備に5分、空港まで30分、発券に5分…すぐさま計算するも、時すでに遅し。I'ts the end.
この日は朝から晴れて、やっと青い海が見られたと思ったら、これです。人生発のフライト寝過ごし。残る2人を部屋に残し、楽しかった合宿がすべて台無しになったかのような沈み顔でホテルを後に。せっかく格安チケットを予約しても、まったくの無駄無駄無駄。
これにて、宮崎合宿終了。
ただでは終わらないとは思っていました。
あれだけ飲んで、あのどしゃ降りの中フットサルをやったんですから、何かを無くすとかまた怪我するとか、そういうことがあってもまったく不思議ではないのです。というよりむしろ、私は、何かあることを無意識的に望んですらいたのかもしれない、などと結論したくもなるのですが、やはりそれを差し引いても、この2泊3日は大変有意義で、充分羽を休めることが出来たので、主催者のA氏には感謝感激しても足りません。
あらためて、Aさん、お疲れ様でした。
宮崎よ、また来年会おう。
2007年10月05日
ポジティブに退行してトラッシュに突っ込む予定は、しかし未定
クエンティン・タランティーノの『デス・プルーフ』を観て以来、ずっと頭の中に引っかかっていることがあります。
一つは、自分がいかに70年代のアメリカB級映画を観ていなかったか、ということです。『デス・プルーフ』という大傑作に出会った良い機会だったので、所謂“グラインドハウス映画”についていろいろと調べてみましたが、もちろん、その大半は下らなくて、悲しくなるほどにいい加減で、二度と観たくないと思わせるような映画なのでしょうが、それを承知の上でも、やはり今後の映画人生において、何らかの発見に繋がりそうだということに気づいたのは、自分でも驚きでした。知らず知らずのうちに偏愛していた映画が、実は“グラインドハウス映画”と密接に結びついていたということもそうですし、今まさにこんな映画が観たいという純粋な欲求が沸いてきたりもしたのです。それらの多くは、暴力や残酷さ、あるいはエロス的な見世物性のみにフォーカスされたもので、私もほとんど無視してきたか、無関心を装ってきたものばかりですが、『デス・プルーフ』におけるタランティーノの素晴らしさが、意図せずに私への啓蒙となっていたことは否定出来ません。
思えばタランティーノの作品には、これまでも積極的にグラインドハウス的精神や描写が垣間見られました。『デス・プルーフ』を観るまで、私の一番のお気に入りだった『ジャッキー・ブラウン』などはその際たるものです。私は『ジャッキー・ブラウン』の封切り時に、そのまま『Foxy Brown』や『Coffy』に代表されるジャック・ヒル作品へと接近すべきだったのです。この後悔もまた、『デス・プルーフ』によって齎されたものです。そして同様に、“foxy”という言葉が持つ甘美で淫靡な魔術に、もっと早く気づいておくべきでした。まぁもっとも、その段階でそちら方面への傾向を強くしていたら、今のような志向性に至ることもまたなかったのでしょうが。
さて、ここで冒頭の話題に立ち返りますが、『デス・プルーフ』に登場する“bitch”であると同時に“foxy”でもある女性たちへのタランティーノの視線、これもまた、ずっと脳裏に焼き付いているのです。それはおそらく、私自身がその視線を共有してしまっていたことを意味するのかもしれません。
それだけではなく、あまた存在するグラインドハウス的な映画を片っ端から観てみたいという欲望が高まってきているのです。何というポジティブな退行化、そして何というトラッシュへの爆走!
今、どうしても『Foxy Brown』を観たいと思っている私は、ひとまずYouTubeにてオープニングタイトルを発見しました。これがまた素晴らしいの一言。この素晴らしいという言葉は、まったく個人的なもので、誰かにお勧めしたいなどという、生産的な絶賛ではありません。道に落ちているエロ本だったり、ヴィデオ屋でふと視界に入ってきた目的外のAVのパッケージだったりに、奇跡的に、自分の琴線に触れるような“foxy lady”が写っていた時に感じるような、あまりおおっぴらには言えない絶賛なのです。
まぁご覧ください。今日だけで、この動画を50回はリピートしました。
そしてもう一つ。ついでに見つけたのですが、『ジャッキー・ブラウン』のサントラに収録されている、その名もフォクシー・ブラウン(!)というアーティストの曲「Letter to the firm」です。PVではないので画面は固定のままですが、当時「Across 110th street」同様、憑依してしまうくらい聞いた曲です。
2007年10月01日
不毛なウィークエンドシャッフル
たまには一本も映画を観ない週末があってもいいよね、と自分の中で完結。
いつもなら暗い映画館で息を潜めていることが多い週末も、今週だけはよりアクティブに!より陽光の下へ!と思っていたにもかかわらず、朝起きてみると、外は雨がしとしと。ああ、とりあえず今日のフットサルは中止かぁ、と全裸のままベッドに戻ろうとしましたが、同じフットサル仲間の先輩から「今日は開催します」という悪魔のようなメールが。というわけで、“もっと降れよ、雨よ降ってください”とおそらく高校の部活の時以来の雨乞いをしながら、神宮外苑へ。まぁ到着してしまえばテンションも上がってくるというもので、結局は2時間みっちりと。雨乞いもむなしく(?)途中から雨も止んじゃったりして。
さて、フットサルをやった後映画に行くほど、最近の私は若くないということを思い知らされたりして、そのままビール飲んで帰宅。そこから、半ば意地になって映画から遠ざかろうとした私は、ちょうど修理からあがったばかりのパソコンで迷わず「ニコニコ動画」にアクセスし、一昔前のテレヴィドラマ『医龍』を9時間ほどかけて全話鑑賞。土曜日はそれでおしまい。
翌日曜も雨は降り続いていたので、やはり一昔前のテレヴィドラマ『救命病棟24時』を全話コンプリート。日曜日もほとんどがそれでおしまい。いったい自分は、貴重な週末に何をやっているんだろうと、もちろん後悔しまくりでしたし、そもそも何故、医療ドラマばかり?という疑問符が解消されることもまたなかったのですが、まぁ普段テレヴィドラマを観ない私が、急に反動的になったということでしょう。ここ数年よく怪我をするなぁ…という自戒が、そのまま医療ドラマへと導いた、とか。ま、どうでもいいですけど。
というわけで、書くのも馬鹿馬鹿しい不毛な週末を過ごしました。
今週末は、東京から遠く離れた地鶏とマンゴーの地方都市で、オトナのオトコだらけの合宿、のようなものに参加するので、やはり映画は無しになるかも。いや、さすがにそれはヤバイので、明日か明後日に下北へゴー、月曜に帰ってきたすぐに渋谷へゴーゴー、です。