2005年11月04日

誰にでも映画を撮れるわけではないということ

今週観た映画の話をする前に、先週観た『親切なクムジャさん』と『アワー・ミュージック』ですが、これは何とかもう一回ずつ観たいと思っておりまして、レビューのほうは未だ着手しておりません。いずれも私としては満足の出来ではありましたが、同時になかなか一筋縄ではいかない作品でもあるので。あしからずご了承いただければと。

さて、それでは今週鑑賞した作品の簡単なレビューを。ここではヴィデオで観た作品を中心に書いておきます。
といっても、のっけから恐縮ですが『インストール』に関してはほとんど言葉を失うほかなく、それは上戸彩の水色の下着が一瞬だけ見えたり、あるいは神木隆之介によって胸を揉まれたりするだけでは、とても解消されない脱力感を齎してくれました。それは片岡Kなる監督がテレヴィ出身だからとかそういう問題なのでしょうか? いや、それだけでは説明足らずでしょう。監督がシンメトリーに拘るのはバカでもわかりますが、私はそんなこだわりを求めているわけではありません。ただ、まともな(というと語弊がありますが)画面や演出を観たいという、ごくつつましいものに過ぎません。まぁ端的にいって、このような映画が大嫌いだと結論しておきます。

そんな思いを一気に消し去ってくれたのが『コントロール』でした。
ティム・ハンターという監督を知らなかった私が本作をセレクトしたのは、レイ・リオッタとウィレム・デフォーという俳優に拠るところが大きかったのですが、いやはや、ラストまで一気に駆け抜けていった爽快な映画でした。
映画の序盤、これはキューブリックの傑作『時計仕掛けのオレンジ』の現代的解釈だろうかなどと安易な発想が浮かんだのですが、科学実験により凶悪犯を善人に生まれ変わらせるというアイディアを超えて、いかにもアメリカ映画的な友情やら裏切りやらが息つく間もないまま繰り広げられたかと思えば、その結末で“もちろん”レイ・リオッタは死に、生き残ったウィレム・デフォーは幸せな第二の人生をスタートさせるなんて、全くご都合主義も甚だしく、しかし、それゆえにこの映画のアメリカ映画ぶりは感動的なのであり、正直、劇場で観なかったことを激しく公開した次第。未見の方には、大々的にでなく、あくまでひっそりとお薦めしたい作品です。

続いて観たのは『大統領の理髪師』。名優ソン・ガンホ主演、脇をムン・ソリが固める韓国映画で、監督はイム・チャンサンという新人です。韓国で最も辛い時代と言われた60〜70年代を舞台にした市民のドラマを、私は観た事がありませんでした。監督は69年生まれですから、本作に描かれている時代をほとんど生きていません。にもかかわらず、よくこれだけのドラマを描ききれたなと素直に関心しました。もちろん、本作の魅力はほとんどソン・ガンホに負う部分が大きいのですが、全編が実に誠実に撮られている気がして、その所為か、ほとんど過剰な細部などないにもかかわらず、観終えた時非常に肯定的な気持ちになったと告白しておきます。

それにしても上記3作品、特に意識したわけではありませんが、全て監督デビュー作なのです。当たり前のことですが、誰でも映画を撮れるわけではないという極めて残酷な事実を、あらためて理解した次第です。

2005年11月04日 17:27 | 映画雑記
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