2005年05月17日

『海を飛ぶ夢』、もっと残酷であったなら…

原題:MAR ADENTRO
上映時間:125分
監督:アレハンドロ・アメナーバル

ハビエル・バルデムは、ほとんど“変身”とも言うべき凄まじい変貌ぶりを見せてくれました。その主題ゆえか、いくつかのシーンで余計な叙情性を感じざるを得なかったのですが、それに勝るとも劣らないほどのテクニック(何を見せないかという問題に対する対処)には感動しました。

ところで、ハビエル・バルデムが抱えていた“闇”とはいったい何だったのでしょうか。
彼は何故、嘗て海に飛び込んだのか。それは物語後半に発覚する、彼の詩作の才能にも繋がる重要なファクターだったと思うのですが。

またはあの服毒シーンを、何故ワンショットで見せなかったのでしょう。あのクローズアップの強度から言って、ハビエル・バルデムはそれに耐え得ることが出来たはずだと思うのです。

このような疑問が浮かぶにあたり、この適度に残酷な物語が、より徹底して残酷であったならと、思わずにはいられません。しかしながらそれでも、本作は今後もアレハンドロ・アメナーバルを見続けねばならないという、一つの方向性を与えてくれました。

2005年05月17日 00:55 | 邦題:あ行
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