2004年07月02日

世界映画の今を問う!

世界映画の今を問う!と題した、青山真治氏と阿部和重氏によるトークショー、なかなか興味深い話を聞くことが出来ました。蓋を開けてみると、やはりといいますか、彼ら2人の話題の中心は決して“世界映画の今”に向けられているわけではなく、飽くまで“アメリカ映画”に終始していて、それは今年のアメリカ映画が結構凄いことになっている、ということなのでしょう。

実際、2人が最初から最後まで一貫して『スパイダーマン2』を絶賛していたことや、『KILLBILL』を巡って視覚性と物語性に関する議論を展開させていたこと、ティム・バートンのすばらしさに関する熱い共感を表明していたことなどからも分かるように、彼らの期待も不安も喜びも悲しみも、などというと大げさですが、とにかく“やっぱりアメリカ映画だ!”というテンションが会場を包んでいたのは紛れもない事実だったと。

相当なシネフィルとしても知られるこの2人。青山真治氏に関しては『さすらいのカウボーイ ディレクターズ・カット版』のリバイバルを観にいった際、中原昌也氏とのトークを聞いたことがあるのですが、あの時は2人の口から出てくるタイトルがことごとく分からず、自分も結構西部劇を見ているほうなのに…と途方に暮れもしました。一方の阿部氏ですが、もともと彼の小説は全て読んでいますし、初の映画批評集「映画覚書 vol.1」も読了したばかりでしたが、その過剰とも言える饒舌ぶりは実際のトークにも露呈していて、ちょっと笑ってしまうくらいの真面目さに大変好感が持てました。

2時間に及ぶ2人のトークの詳細をここで書いてみても、その面白さなど半分も伝わらないでしょうから、いろいろメモなども取りはしましたが不毛なのでやめます。が、2人の話を聞く限り、どうやらはっきりと断言できそうなことがいくつかあって、それを箇条書きにすると、

・『スパイダーマン2』は本年度NO.1と言えるほどの傑作である
・現在、映画におけるロングショットの不在は深刻である
・映画における無駄なシーン(それは日常的描写ともいえるかもしれない)は重要である
・現在、映画批評を書く上で“良い・悪い”という印象論は無意味だ

ということになろうかと。
実に“アメリカ映画”らしい2時間でした。

2004年07月02日 11:15 | 映画雑記
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